Dialogue
Laura Israel × Katsumi Omori

対話 ローラ・イスラエル×大森克己
ロバート・フランクが人生を通して語りかけること

Laura Israel × Katsumi Omori

大森:フランクさん自身のフィルムもそうだし、「Don’t Blink」でもそうですけど、音の聴こえ方がとても印象的でした。音楽でないノイズや音楽の断片がとても効果的に、思わぬところで出てくることに不意を突かれました。例えばバーモントでの、娘のアンドレアの言葉にカノンが聴こえてきたり、あと「ABOUT ME: A MUSICAL」(1971年)で黒人の人が歌っているゴスペルの歌とか、あと「ENERGY AND HOW TO GET IT」(1981年)のノイズや喧噪が映像と等価に、全体でひとつの音楽みたいになっていると思うんですね。フランクさんが映画を撮るときに、「録音するのが大変だ」って映画の中で語っていましたが、映画を作る動機に、音や音楽という要素が関係しているのかなと感じました。

イスラエル:最初にインタビューを始めたとき、ロバートを映画監督として撮ろうと思ったんですね。でもやっぱり写真のことも話していて、話が行き来するんです。だから彼にとっては写真も映画もあまり大きな違いはなくて、チャレンジすることを彼は好んでいると思うんです。

大森:それをいまも続けていること自体が、僕にとっては驚きです。

イスラエル:昨年の夏、避暑のためにノヴァスコシアに行くときに、いっぱいカメラを持って行くかと聞いたら「いやそんなことしないんだ、カメラなんて持っていかないんだ」って。でもスーツケースには、カメラばっかりでした(笑)。僕は撮らないっていってもこれ。ジューンとお互いにいつも何らかの創作をしている。私にとってもインスパイアされる部分ですよね。

Photo of Robert Frank and June Leaf by Robert Frank, copyright Robert Frank

Photo of Robert Frank and June Leaf by Robert Frank, copyright Robert Frank

大森:彼はイスラエルさんに対してはとてもオープンだと見受けられますが、真摯にものを作っている人によくあるように、すごく不機嫌なときもあるじゃないですか。そういうときはどうしているんですか?

イスラエル:3人しかクルーがいないというのが大事でしたね。彼の家の中、彼の人生の中に入り込むわけですから。でもとにかく彼が指示、演出をされるのが嫌いだっていうのは、当初からみんな気付いていたと思います。

大森:自然に起きることを彼はとても大事にするし、彼の言葉ですごく好きなんですが、「Intuition=直感」という言葉を何度もいいますよね。

イスラエル:この映画を撮影中も、「スタテンアイランドに行こう」といっていたのに、「やっぱりニュージャージーに行こう」とか。もしかしたら、かしこまらずリアルに見せたいっていう彼の意図かもしれない。映画をより有機的にしようという。でも結果的にもいいものが撮れました。あるとき、どこに行くかわからないから地図を持っていかなきゃといったら、「地図は持っていかない。道に迷うのも目的だから」って(笑)。

Photo of Robert Frank by Lisa Rinzler, copyright Assemblage Films LLC

Photo of Robert Frank by Lisa Rinzler, copyright Assemblage Films LLC