Talk
Roe Ethridge × Fumi Ishino

対談 ロー・エスリッジ×⽯野郁和
意図を超えたときに写るもの

石野郁和『Rowing a Tetrapod』(MACK, 2017)

石野郁和『Rowing a Tetrapod』(MACK, 2017)

PREVIOUS PAGE 1 2 3

石野:写真集を作るときはご⾃⾝のアイデアはもちろん、デザイナーやパブリッシャーと⼀緒に作っていくものでもあります。ほかの⼈とどのように協⼒されているのでしょうか。

エスリッジ:それはプロジェクトによって決まる部分が⼤きいです。プロジェクトにはチームワークという側⾯があり、何年も同じチームで仕事をしていると⾔葉の使い⽅や仕事の流れが出来上がっているので、基本的なことを確認し合う必要がない。それには⻑い時間がかかりましたが、いまはもう相⼿が次に何をやろうとしているかがわかるし、お互いに上⼿にボールをパスできるようになりました。

Roe Ethridge『Neighbors』(MACK, 2016)

Roe Ethridge『Neighbors』(MACK, 2016)

⽯野:個々の作品についてお伺いしたいと思います。感謝祭(Thanksgiving)のように、アメリカ⽂化に根ざした写真も多く撮られていますが、季節の要素があると、⾒る側はそれにまつわる記憶や規範と関連付けやすくなる⼀⽅で、シークエンスになると、時間や場所の感覚が曖昧になる。あなたの作品は、⾃分の⼈⽣に起きた出来事の記録なのでしょうか、それともアメリカンドリームに対する批評なのでしょうか。

エスリッジ:両⽅かもしれませんが、そのふたつに限定されているわけではありません。ストックフォトや⼀般的なイメージには⾃分を惹きつけるものがありますが、それは私が、何もかもが平均的で中流だからではないかと思います。⼦どもの頃からメソジスト教会に通い、郊外で育った⽩⼈男性、これ以上ありきたりな⼈間もあまりいないと思います。他と差異がないものや、普通過ぎるほど普通なものの中に些細な問題や意外なつながりを⾒つけることも⾯⽩いと思っています。

Roe Ethridge『Neighbors』(MACK, 2016)

Roe Ethridge『Neighbors』(MACK, 2016)

⽯野:以前LAでお会いしたとき、チェーン店のコーヒーを飲みながらチキンサンドを美味しそうに召し上がっていましたね。バレンシアガをはじめとする超⼀流ブランドの写真を撮る⼈が庶⺠的なものを喜んで⾷べているという組み合わせが⾯⽩いと思いました。写真で芸術と⼤衆⽂化をミックスするように、ふたつの領域の境界線を意図的に曖昧にしようとしているのでしょうか。それとも何もかも区別せず、同等のものとしてとらえているのでしょうか。

エスリッジ:それは⺠主的であることについてともいえるかもしれませんが、ふたつの世界が等しいわけではありません。バレンシアガは素晴らしいですが、⾞の側⾯に貼るマグネットステッカーだって格好いい。⾃分は⾞にフロリダ州のマグネットステッカーを貼ることも、バレンシアガの服を着ることもしませんが、どちらの良さもわかっています。そのどちらも、良くも悪くも、⾃分が⾃分⾃⾝をどう⾒ているかということと関わっています。いま、⻘⼭にあるヘルツォーク&ド・ムーロンが設計したプラダの店舗のことを思い浮かべています。(少しの間)…私はあの店中でフライドチキンを平気で⾷べることができますよ!

タイトル

ロー・エスリッジ『NEIGHBORS』

出版社

MACK

価格

6,750円+tax

発行年

2016年

仕様

ハードカバー/205mm×290mm/134 ページ

URL

https://twelve-books.com/products/neighbors-by-roe-ethridge

タイトル

⽯野郁和『ROWING A TETRAPOD』

出版社

MACK

価格

6,000 円+tax

発行年

2017年

仕様

ソフトカバー/230mm×285mm/176 ページ

URL

https://twelve-books.com/products/rowing-a-tetrapod-by-fumi-ishino

ロー・エスリッジ|Roe Ethridge
1969年フロリダ州マイアミ⽣まれ。現在ニューヨークを拠点に活動。世界中の美術館や施設において作品を展⽰しており、MOMA/PS1(ニューヨーク/2000 年)をはじめとし、バービカンセンター(ロンドン/2001年)、カーネギー美術館(ペンシルバニア/2002年)、ボストン・コンテンポラリーアート美術館(マサチューセッツ/2005年)、ホイットニー・ビエンナーレ(ニューヨーク/2008年)、ニューヨーク近代美術館(MOMA, ニューヨーク/2010年)、アルル国際写真祭(アルル/2011年)と多岐にわたる。また、個展においては同じくボストン・コンテンポラリーアート美術館、 現代美術館ガレージ(モスクワ)、キュレーションをAnne Pontegnie が務めたル・コンソーシアム(ディジョン)での開催が挙げられる。また、2011年にはドイツ・ボーズ賞にノミネートされた。
*ロー・エスリッジの関連書籍(MACK)
https://twelve-books.com/collections/roe-ethridge

⽯野郁和|Fumi Ishino
1984年兵庫県⽣まれ。2012年ロチェスター⼯科⼤学BFA 取得後、2014年イェール⼤学MFA取得。 主な展⽰に、「Beyond 2020」(2017年/IMA Gallery)、「The Heart is a Lonely Hunter」(2015年/Fraenkel Gallery)、「Deep End」(2014年/Flag Art Foundation)。 主な受賞歴に「Japan Photo Award」(2015年)、「キヤノン写真新世紀 」佳作(2015年)、「Toby Devan Lewis」フェローシップ(2014年)。2017年9⽉にMACKより『Rowing a Tetrapod』を刊⾏。

PREVIOUS PAGE 1 2 3