Talk
François Halard × Taka Kawachi

対談 フランソワ・アラール×河内タカ
ソール・ライター、サイ・トゥオンブリー、ルイジ・ギッリ…
作家のバイオグラフィーを浮かび上がらせるアトリエの風景

AREA

東京

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Luigi Ghirri © François Halard

Luigi Ghirri © François Halard

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河内:イタリアのボローニャに住んでいた写真家、ルイジ・ギッリの話も聞かせてください。

フランソワ:彼の作品が好きだったので彼と同じプリントラボを使いたいと思い、そこでギッリの奥さんと会いました。そしてルイジ・ギッリを敬愛していて、写真を撮りたいと伝えると承諾してくれたんです。

河内:ギッリの写真作品にはある特有の親密性がありますが、それはフランソワの写真にもいえることだと思います。

フランソワ:好きな作家の作品を撮ると、そういうところも共通してくると思います。ギッリがクラシックレコードから受けた影響が部屋のそこかしこに表れていますが、どういう写真を撮るか決められているわけではなく、依頼されたものでもない。自分で見つけて、考え、決めていく必要があります。

Luigi Ghirri © François Halard

Luigi Ghirri © François Halard

河内:この写真一枚からも、ルイジ・ギッリが愛聴していたモーツァルトやバッハを想起し、さらに生きていたときの彼の姿を想像します。フランソワがこのような形で、25年前に亡くなった作家の人となりを伝えてくれるのはとても貴重なことだと思いますけどね。

フランソワ:このアトリエは残念ながら、数年前に燃えてしまったのです。

河内:え、そうなんですか!ということはもう写真でしか残っていないんですね。個人的な記憶が反映され、綺麗すぎないところが、インテリア雑誌とは確実に異なるところです。

Luigi Ghirri © François Halard

Luigi Ghirri © François Halard

フランソワ:インテリア雑誌に使われることはおそらくないでしょうね。彼が地図とボブ・ディランが好きということを知っていたので、この構図にしました。自分が彼の作品を知っているが故にできたことだと思います。

Luigi Ghirri © François Halard

Luigi Ghirri © François Halard

河内:そもそも、なぜアーティストの家やアトリエを撮るのが好きなのでしょうか。

フランソワ:とてもシンプルです。14歳の頃から自分の部屋の写真を撮っていて、その親密な空間に慣れていました。部屋が外側の世界を反映し、写し取るものであるということを知って、それをやり続けてきたということです。そこから自然な形で、自分が好きな人の部屋も撮るようになりました。その人が存在していた時の感覚を感じることができるという理由でインテリアが好きなんです。

河内:日本では京都の桂離宮に最初に行きたいと伺いましたが、日本で撮りたい場所などありますか?

フランソワ:これまでやってきた仕事を、日本人のアーティストのアトリエでもやってみたいと思っています。桂離宮に関しては、両親が桂離宮の本を持っていて、11歳の頃からずっと見ながら行きたいと思っていました。いま55歳なので、実に45年ほど待っていたことになります。でも、本当に欲しいものがあれば、忍耐強く待つしかないわけです。

河内:トゥオンブリーにいたっては15年間待ちましたしね。

フランソワ:その通りですね(笑)。

2017年10月8日に「TOKYO ART BOOK FAIR 2017」で開催された「Saul Leiter」刊行記念トークイベントより

2017年10月8日に「TOKYO ART BOOK FAIR 2017」で開催された「Saul Leiter」刊行記念トークイベントより
© Mari Kojima

タイトル

『SAUL LEITER』

出版社

LIBRARYMAN

価格

6,800円+tax

発行年

2017年

仕様

ハードカバー/235×285mm/64ページ

URL

https://twelve-books.com/products/saul-leiter-by-francois-halard

フランソワ・アラール|François Halard
1961年フランス生まれ。ロバート・ラウシェンバーグ、サイ・トゥオンブリー、ルイーズ・ブルジョワから、近年ではルイジ・ギッリやリチャード・アヴェドン、ジョン・リチャードソンといったアーティストの自宅や有名建築など、自らをインスパイアさせる場所を撮影している。アメリカ版ヴォーグやヴァニティ・フェア、ニューヨーク・タイムズ、AD(Architectural Digest) やアパルタメント・マガジンなどで活躍し、世界で最も卓越した建築写真家の一人と評価されている。建物の歴史、インテリアや展示空間の小さなディテール、光と影によって作られる雰囲気、ポートレイトを撮っている最中のアーティストのふとした眼差しなどを捉えた作品は、多くの写真集や世界中のギャラリーや美術館の展覧会などで展開されている。http://francoishalard.com

河内タカ|Taka Kawachi
高校卒業後、サンフランシスコのアートカレッジに留学。NYに拠点を移し、展覧会のキュレーションや写真集の編集を数多く手がけ2011年に帰国。アマナの写真コレクションのディレクターに就任。2016年には自身の体験を通したアートや写真のことを綴った著書『アートの入り口(アメリカ編)』と続編となる『ヨーロッパ編』を刊行した。現在は京都便利堂において写真の古典技法であるコロタイプの普及を目指した業務に携わっている。

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