Interview
Kishin Shinoyama

篠山紀信展「快楽の館」インタヴュー

―いまではめずらしくなった独特の雰囲気を持つ古い洋館の中で、この規模感で撮影し、また同じ場所で展示する企画は、どこでもできるものではありませんね。

篠山:なかなかできませんよ。どこの壁に何を展示するかっていう展示構成も考えながら撮影できたので、特定の役者に向けた脚本を「当て書き」というけど、今回は「当て撮り」ができたわけで(笑)、そこも面白かった。広くて大きい壁面に対して、臨場感を出すために何が有効かを考えたとき、1980年代に僕がよく使っていた「シノラマ」という手法がぴったりだったわけ。複数の写真をパノラマ状につなげて一枚の大判作品にする手法で、今回は初めてデジタルで「シノラマ」に挑戦しています。

プリントが等身大の大きさだと、鑑賞者が錯覚を起こすような、その場に迷い込んだようなリアルな引力が写真にはありますね。2012年に熊本県立美術館を皮切りに始まった巡回展「写真力」をした時の、美術館という特別な空間での展示経験が見事に生きましたね。

Kishin Shinoyama

篠山紀信「快楽の館」2016年 © Kishin Shinoyama 2016

―今回のロケーションである「館」と、ヌードの組み合わせは、あらゆる表現媒体のテーマにもなっていますが、色々なイメージを喚起しますね。

 篠山:変態的に聞こえるかもしれませんが、そもそも原美術館が持つ空気感や建物がエロいんですよ(笑)。壁が曲がっていたり、丸みがあったり、真四角で窓すらない一般的なホワイトキューブと違うでしょ。また、常設展示作品(森村泰昌、宮島達男、奈良美智など)とコラボレーションしたり、くめども尽きぬアイデアを昇華するためには、やはりモデルも大勢必要だったわけです。数えたら33人もいた。写真を撮ることが楽しくて、「快楽の館」というのは結局、私にとっての「撮る」快楽だったんじゃないかって(笑)。

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