サンフランシスコ発の日本の戦後写真展が、
アメリカ人にアピールしたもの

アメリカ・サンフランシスコ近代美術館で開催中の「Japanese Photography from Postwar to Now」展レビュー Vol.1

REVIEW

02 December 2016

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Japanese Photography from Postwar to Now

Photo: Yuriko Yamaki

2016年春、大増築後に再オープンしたサンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)は、アメリカ西海岸の代表的な美術館である。特に写真部門の拡充を図り、アメリカの美術館の写真部門としては国内最大の展示面積となった。1万7千点を誇る作品コレクションを見せるギャラリーと企画展用ギャラリーのほか、作品研究用のスペースも設置されている。

Japanese Photography from Postwar to Now

Photo: Yuriko Yamaki

作品コレクションのギャラリーでは、この10月より、大規模な戦後日本の写真展「Japanese Photography from Postwar to Now」を開催中だ。これは、東京・台東区の寺院・長応院が運営するアートギャラリー「空蓮房」のコレクションから寄贈された多数の作品などを展示したもの。2015年から16年にかけ、アメリカ国内の主要な美術館では、東日本大震災以降の写真表現や1970年代の日本のアートシーンと写真の関係など、ある特定のジャンルや時代にスポットを当てて日本写真に迫る企画が多かったが、本展は過去70年間の日本の写真史を俯瞰した壮大な企画になっている。

Tsunehisa Kimura, Untitled, 1977; promised gift of a private collection to the San Francisco Museum of Modern Art

Tsunehisa Kimura, Untitled, 1977; promised gift of a private collection to the San Francisco Museum of Modern Art;
© Estate of Tsunehisa Kimura

8つのギャラリー(展示室)には、テーマごとに計200点余りの写真および写真集が展示されている。入ってすぐに目を引くのは「日本とアメリカ」のテーマのもとに展示された木村恒久のフォトモンタージュ作品。海に沈みゆく自由の女神像を描いた作品「無題(1977年)」は、トランプ当選後のいま、社会風刺以上のインパクトを与えるに違いない。また、「アメリカニズム(1982年)」では、遠景のキノコ雲をまるでテレビでも見るかのように笑いながら眺める白人カップルの姿が、戦後の日米関係への強烈な揶揄として表現されている。戦後の日本写真史の紹介をこれらの作品から始めるのは意外だが、日本写真に詳しくない一般のアートファンを引き込むには格好の一枚だ。このテーマの主要作品が東松照明、川田喜久治、石内都であるのはいうまでもない。

Japanese Photography from Postwar to Now

  • Vol.2

    Vol.2

    パフォーマンス

  • Vol.3

    Vol.3

    女性作家の大躍進

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