サンフランシスコ発の日本の戦後写真展が、
アメリカ人にアピールしたもの

アメリカ・サンフランシスコ近代美術館で開催中の「Japanese Photography from Postwar to Now」展レビュー Vol.2

REVIEW

02 December 2016

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Eikoh Hosoe, Kamaitachi #17, 1965, printed 1971; collection of the Sack Photographic Trust

Eikoh Hosoe, Kamaitachi #17, 1965, printed 1971; collection of the Sack Photographic Trust; © Eikoh Hosoe

次の展示室のテーマは「パフォーマンス」。細江英公の『鎌鼬』からの作品群などが並んでいるが、何よりも森村泰昌作品が目立つ。下半身をさらけ出し、顔に着色して名画を再現したセルフポートレイト作品「少年1、2、3」は、性的、人種的タブーに敏感なアメリカで見せるには十分刺激的だ。一方、「私の妹のために/シンディ・シャーマンに捧ぐ」はパロディのパロデイとして面白く映ることだろう。森村作品が連なっていることに、写真を現代美術の一部としてとらえるアメリカ美術の姿勢がうかがえる。

以上が日米の写真にまつわる溝を埋めるイントロの役目を果たし、以降はゼラチン・シルバープリントあるいはカラープリントを主とした、オーソドックスな展示が続く。テーマは「都市」「室内」「地方」「私的写真」「災害」「日本の外」。日本の戦後の変遷がコンパクトに抽象化されたタイトルだ。これらのキーワードを縦軸にしながら、鑑賞者は写真集も含めたさまざまな表現方法に触れることができる。「災害」は、もちろん3.11関連の写真を集めたもの。「日本の外」というテーマでは、日米の写真界をつないだ石元泰博や日米を行き来する杉本博司を中心に、主に海外を拠点にして活動している作家がフィーチャーされている。

Lieko Shiga, Tomlinson FC, from the series Lilly, 2005; San Francisco Museum of Modern Art, gift of the Kurenboh Collection

Lieko Shiga, Tomlinson FC, from the series Lilly, 2005; San Francisco Museum of Modern Art, gift of the Kurenboh Collection;
© Lieko Shiga

森山大道、荒木経惟、深瀬昌久、中平卓馬、畠山直哉など、すでに知られた有名作家をはじめ、注目されるべきベテランから新進作家まで60人近い写真家の作品がラインナップされている。1点のみ紹介という作家も多いが、いずれも彼らの知名度いかんではなく作品自体をコンセプトにのっとって見せるというアプローチで、淡々と並んでいるのが印象的だ。

Japanese Photography from Postwar to Now

  • Vol.1

    Vol.1

    日本とアメリカ

  • Vol.3

    Vol.3

    女性作家の大躍進

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