ロサンゼルスのLA Art Book Fairで
アートブックの最前線をキャッチ

ロサンゼルスがアートブックファンに沸く、
約300の出展者が世界中から集まるLA Art Book FairをIMA編集部が現地レポート Vol.3

REVIEW

08 March 2017

Share

Conveyor Edition

センス良く装飾されたConveyor Editionsブースには、右側に手軽に買えるプリント作品のコーナーも。

ロサンゼルスのアート史における重要な作家のアートブックの出版も行なう、オンラインマガジンeast of borneoのブースで、以前『IMA』編集部でコントリビューティングエディターを務め、現在はロサンゼルスを拠点とするダン・アビーに遭遇。購入したばかりの写真集は、アラン・セクーラによる『Facing the Music: Documenting Wawlt Disney Concert Hall and The Redevelopment of Downtown Los Angels』。写真やフィルム、テキストなどを用いて、ソーシャル・ドキュメンタリー論を展開してきたセクーラが、ロサンゼルスのダウンタウンの再開発を記録した本書は、フランク・ゲイリーの代表作のひとつ、ウォルトディズニー・コンサートホールの写真が表紙を飾る。アビー曰くこれから評価が高まる写真集とのこと!

2年前にポートランドからロサンゼルスに拠点を移したNazraeli Pressは、今年初めてLA ART BOOK FAIRに参戦。30年近くにわたってインディペンデント出版を続けるNazraeli Pressは、新刊だけでなく、過去に出版された写真集の一部展示販売もしており、改めて彼らのクオリティの高さを実感。会期中には、エド・テンプルトン(写真右)やトッド・ハイドのサイン会を行い、常に人で賑わっていた。

ロサンゼルスとバンクーバーを拠点とするNew Documentは、コンセプチュアルで、洗練されたユーモアの効いたアートブックが多い印象。例えば、写真を使った作品集でいうと、ルース・ファン・ビークのコラージュ作品を収録する『The Cast』、ジョン・ラフマンの『Nine Eyes』などがある。また、『IMA Vol.19』の写真集ページで紹介している、Wikipediaのさまざまな言語で「気分障害(Mood Disorder)」のページの写真を自身が頭を抱える写真に差し替え、イメージがネットを通して流通していくさまを作品化した『Mood Disorder』の著者であるデーヴィッド・ホルヴィッツは、ロサンゼルス在住なので、出来たばかりの自費出版の新作も手持ちで納品しに来ていた。写真に写ってはいないが、新作は、過去10年間にデジカメで日々撮り続けている写真を整理していくプロジェクト。膨大なデータの中からセレクトした写真をL版にプリントし、ファイリングして本にしているのだが、本に使用されたデータは破棄されるというもので、一冊一冊がユニークピースになっている。

インハウスで印刷から出版までを行うニュージャージーのConveyor Editionsは、雑誌『Conveyor』の刊行や手軽に購入できるプリント作品やノートブック、そして丁寧な造本の写真集を取りそろえる。デザイン性が高く、オブジェのようなノートや写真集が目を引く。クリスティアーナ・ラビーの『The Crystal Fire, VI』は、イタリアのヴェスヴィオ山、フレグレイ平野、そして月という3つの場所の類似点に焦点を当て、それらの写真、アーカイブ、引用テキストなどがちりばめられた美しい一冊。わずか100部限定の写真集というから、日本ではなかなか目にしないレアなアイテムに出会えるのも、こうしたフェアならでは。

New Document

New Documentのブース。手前真ん中の赤いオブジェがルス・ファン・ビークの写真集。

LA Art Book Fair Report

  • Vol.1

    Vol.1

    写真を軸としたパブリッシャーで賑わう「Focus: Photography」

  • Vol.2

    Vol.2

    ヨーロッパから参戦する写真集出版社による新刊をチェック

  • Vol.4

    Vol.4

    写真家自身が運営する気鋭のレーベルとフェアの傾向を総括

Share

Recommend Posts