京都の街に写真が息づく
今年のKYOTOGRAPHIEの見所をレポート

Vol.3 気鋭の日本人作家たちの躍動

REPORT

01 May 2017

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吉田亮人「Falling Leaves」

吉田亮人「Falling Leaves」元・新風館 Photo by Takuya Oshima

最後に紹介するのが、これからの表現を担う日本人作家たち。元・新風館で展示されている京都を拠点とする吉田亮人の「Falling Leaves」は、宮崎県に住む年下の従兄弟と、従兄弟が生まれた時から一緒に生活する祖母の関係性を撮り続けた作品。

最初のストーリーでは、80歳を超える祖母を献身的に介護する従兄弟の、穏やかかで微笑ましい暮らしの風景が綴られる。しかし運命はただ幸せな家族の風景では終わらない。ある日突然、その従兄弟は失踪し、約1年後に落ち葉の積もる山中にて遺体で発見されるのだ。従兄弟が毎日帰ってくるのを待っていた祖母は、あとを追うかのように、昨年他界する。その事実を知ってから改めて写真を見ると、かつての写真の風景は一変してしまう。写っている二人は存在しないのに、写真の中で生き続けているかのようだ。人の運命と重さ、そして写真が背負う性が浮かび上がる、渾身の作品となっている。

山城知佳子「土の唄」

山城知佳子「土の唄」堀川御池ギャラリー1・2階 Photo by Takuya Oshima

山城知佳子の「土の唄」の映像作品のひとつ「土の人」は、あいちトリエンナーレ2016で発表され、大きな話題となった作品。沖縄出身の山城は、常に沖縄をテーマに、その複雑な歴史と接続する作品を制作し続けてきた。「土の人」は、軍事基地のある沖縄と韓国済州島を舞台にストーリーが展開され、アメリカと東アジアの関係性や死者と現代を生きる者とのつながりを探る3画面のインスタレーション。そのほか、「あなたの声は私の喉を通った」では、他者の戦争の残酷な記憶を、山城自身の身体を通して追体験する映像作品。当事者以外が分かりようのない過去の記憶や経験を、さまざまな手法で強烈な作品へと変換しようと試みる、山城の信念が貫かれている作品群だ。

藤原聡志「ルポルタージュのルポルタージュ〈2015年11月14日・パリ〉」

藤原聡志「ルポルタージュのルポルタージュ〈2015年11月14日・パリ〉」元・新風館

今回、IMAがKYOTOGRAPHIEと連携したサテライト展「KG+」で藤原聡志の新作を元・新風館の一角で展示している。2015年11月13日に、パリで発生した同時多発テロ。当日、偶然にもパリに居合わせた藤原は、自身の経験から、身体的感覚とメディア報道やソーシャルメディア上の結束との間に大きなギャップを感じ、それを把握しようと試みた。ここでは、事件翌日、事件現場に向かい、メディアの裏側に目を向けドキュメントすると同時に、情報やコミュニケーションテクノロジーと国家のセキュリティとの関係性を描き出した作品群を展示している。ベルリンを拠点に活躍する気鋭の作家の意欲作となる。

このように、KYOTOGRAPHIEは多様な楽しみ方に出会える試みがなされている。京都という場所での空間の演出、写真というメディアの最前線のアプトプット、いまを生きる作家たちの切実な表現など、写真ファンのみならず誰もが楽しめる要素がちりばめられているのが、KYOTOGRAPHIEの最大の魅力だろう。各々の写真の見方で、KYOTOGRAPHIEを体験することで、写真との新しい対話に出会えるだろう。

タイトル

「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2017」

日程

2017年4月15日(土)~5月14日(日)

会場

京都市内各所

料金

【一般パスポート】3,000円【一般プチパスポート(美術館「えき」KYOTO会場を除く3会場/1日のみ有効)】1,500円【大・専門・高校生パスポート】2,000円【中学生以下】無料(美術館「えき」KYOTO、立命館大学国際平和ミュージアム会場は除く)*各会場1回のみ有効/二条城は入城料金が必要/各会場の入場料は会場により異なる

URL

http://www.kyotographie.jp/

KYOTOGRAPHIE

  • Vol.1

    Vol.1

    京都だからこそ出会える、歴史的建造物と写真のコラボレーション

  • Vol.2

    Vol.2

    現代写真のいまを写す、規格外のインスタレーション

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