4 December 2017

Interview
Rie Yamada

ドイツ写真新人賞「gute aussichten」受賞の山田梨詠
家族写真から考える家族のあり方

AREA

ドイツ

4 December 2017

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山田梨詠「家族写真から考える家族のあり方」 | Familie werden(家族になる)
山田梨詠「家族写真から考える家族のあり方」 | Familie werden(家族になる)

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―セルフポートレイトで撮影するのは、お化粧にしてもマテリアル選びもすごく大変そうですよね。

アルバムの写真を見ていろいろと調べているうちにそれぞれの家族へも愛情が湧いて来るので、お化粧も表情もより近くなるように努力しました。モデルをほかの人にお願いしたところでどうやって説明していいのかわからないので、最初から自分ですべてを演じることに決めていました。
 
小道具に関しては、例えば、ソファでタバコをふかしているピンクの服の中年女性ですが、撮影セットを組んだ大学のアトリエではタバコは吸えないので、火がついているように見えるフェイクのタバコを作り、煙は電子タバコで演出。撮影のタイミングが大変でした。

テーブルに置かれた東ベルリンの新聞は図書館で同じ日付のものを見つけましたが、ヌードが写っている冊子は保管されておらず、オリジナルの新聞に掲載されていたヌード女性をひとつひとつ撮影して、オリジナルの写真をルーペで見ながら再構成しました。ビジュアルコミュニケーション学科に在籍していたため、写真だけでなく、グラフィックやタイポグラフィーなんかも学んでいたことがとても役に立ちました。私の通うヴァイセンゼー美術アカデミーは比較的、小さな学校でテキスタイルやデザイン科、それに工房もあるため、ほかの学部の友人に助けてもらえたり、製本や木工の工房を使えことも良かったです。

―お嫁さんの写真もご自身で準備されて、撮影なさったのですよね?

叔母が岐阜で美容室を経営してたので、髪やお化粧はもちろん、着付けもしてもらいました。母も手伝ってくれて、私の白無垢姿には複雑な気持ちを抱いたようですが、日本での撮影には家族が全面的に協力してくれて、本当に家族のありがたさを感じました。

10組の家族を知り、演じることで自分の家族と向き合うきっかけが生まれて、新たに実家の歴史を知ることにもつながりました。フランス人作家アンドレ・ジイドが「自分を知る最善の方法は他人を理解すること」といっていましたが、自分の作品を通して自問自答を試みながら、これからも家族をテーマに制作を続けていきたいと思っています。

タイトル

「gute aussichten 2017/2018」

会期/会場

・2017年11月24日(金)~2018年2月4日(日)
NRW-Forum Düsseldorf

・2018年2月16日(金)~5月21日(月)
Haus der Photographie, Deichtorhalle, Hamburg

・2018年6月21日(木)~9月2日(土)
Generaldirektion Kulturelles Erbe Rheinland-Pfalz, Koblenz State Museum, Fortress Ehrenbreitstein

・2018年3月下旬~4月下旬
Goethe-Institut Hanoi, Vietnam

・2018年4月~5月
Goethe-Institut Nicosia, Cyprus(予定)

・2018年5月~7月
Goethe-Institut Mexico City, Mexico

URL

http://www.gute-aussichten.org/

山田梨詠|Rie Yamada
1984年名古屋生まれ。2005年名古屋ヴィジュアルアーツ専門学校卒業後、六本木スタジオに勤務。2012年渡独。2013年−2017年ベルリン、ヴァイセンゼー美術アカデミーのビジュアルコミニュケーション学科。現在、同校のマースターコースに在籍中。在ベルリン。http://www.rieyamada.com/

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