―題材となる写真や小道具はどこから見つけたのでしょうか?
古い家族写真アルバムをドイツではフリーマーケットで、日本では、ほぼインターネットで見つけて、家族構成や時代、場所を把握するためにひとつの家族につき、最低50枚は写真が揃っていることが前提で選んでいきました。衣装や小道具はネットオークションやフリーマーケット、専門店をまわり、探しました。ないものは自分で作りました。ヤシの実のある植物園で撮影した写真を引き伸ばし、それを背景にスタジオ撮影したり、撮影場所をリサーチして突き止めた椿山荘の中庭で撮影したり、ブルガリアの海岸に似ている沖縄、竹富島のビーチに行って撮影したりもしました。
―日本とドイツの両方のオリジナル写真を選んだのはどうしてですか?
ドイツに住んで6年になります。日本の家族だけなら、もっと簡単だったと思います。でも、ドイツで見つけた家族写真に対しては背景を身をもって知りたい、理解したいという気持ちもありました。初めてドイツのフリーマーケットに行ったときに、家族写真のアルバムのような個人的なものが売られていることに衝撃を受けていたのを覚えています。ドイツで生活していると家族のあり方も根本的に日本とは違うことが多いのですが、家族写真そのものはドイツだから、日本だからという違いはほとんど感じられませんでした。ドイツの昔のことは私の知識が乏しいので友人のお母さんやおばさんに聞いたり、メールしたり。私の学校は旧東ベルリンにあるので、東独時代の様子を聞かせてくれる人がたくさんいて、スムーズにリサーチが進みました。
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セルフポートレイトで再現する細部へのこだわり
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。