Photobooks of the Month

書店員がピックアップする10月のおすすめ写真集【Shelf編】

AREA

東京都

Photocopy

東京には、個性的なセレクトが光るブックショップが数多く点在する。その中で、アートに力を入れる大型書店や個性的なアートブックやZINEを扱うインディペンデントブックショップなど、写真集を扱う4店舗の書店員が、毎月おすすめの写真集を3冊ずつピックアップ。

セレクト・文=森屋恵美(Shelfオーナー)

前作『this year’s model』で国内外での評価を確たるものにした伊丹豪がその後の3年間に撮りためた写真からなる新作写真集。フォトストーリーや組み写真という形をとらず一枚一枚が完結した作品である伊丹の写真を、写真集という形をとりつつも前後の流れから独立して見せるにはどうすればよいか?写真家、編集人、デザイナーの3者が公開セッションの参加者の前で打ち合わせを行い、3年間に撮られた膨大な写真から一冊の本を編み上げで行く過程を見せながら完成させた本書は、縦開きで現れる作品の順が一冊一冊異なりひとつとして同じものがないという、かつてないスタイルをとる。伊丹豪の写真に対峙するために最適化された装置・・・・・・・・というに相応しいこの本をぜひ身をもって体験してほしい。

タイトル

伊丹豪『Photocopy』

出版社

RONDADE

価格

8,200円+tax

発行年

2017年

仕様

ハードカバー/370mm×270mm/136ページ

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=122493756

ウィリアム・エグルストンやスティーブン・ショアとともにニューカラーの写真家として知られるジョエル・マイエロヴィッツが、エクス=アン=プロヴァンスのセザンヌのスタジオで撮ったシリーズ。セザンヌのスタジオを訪れた写真家は、濃い灰色の壁と、セザンヌが残したさまざまなオブジェがその壁に吸い込まれるように見えるさまに感銘を受けたという。小さな彫像や頭蓋骨、ガラス瓶、水差しなど、画家の絵にも登場するスタジオ内のすべての静物を灰色の壁を背景にひとつひとつ丹念に撮影し、亡き画家の眼にかつて映っていたであろうイメージを再現し、その芸術観を伝えている。マイエロヴィッツは2015年にはイタリアの画家ジョルジョ・モランディのアトリエの静物を撮った『Morandi’s Objects』を出版している。

タイトル

ジョエル・マイエロヴィッツ『Cézanne’s Objects』

出版社

Damiani

価格

6,720円+tax(輸入書籍につき円価は変動)

発行年

2017年

仕様

ハードカバー/260mm×320mm/111ページ

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=123104688

ナン・ゴールディンやマーク・モリスローらと同時期にボストンの美術カレッジでアートを学び、HIVが猛威をふるう厳しい時代を生きたジャック・ピアソンの小さな私家版写真集『Angel Youth』が写真集コレクターの心を鷲掴みにしてから25年。写真界においてエポックメイキングとさえ言える出来事であったこのファースト・ブックから四半世紀を経て、再び彼の初期の作品が本にまとめられた。色味の被った写真や、どこか虚ろな焦点の合わないイメージは、メラコリックな雰囲気と甘美さを湛えいまもなお見る人を惹きつけてやまない。ライアン・マッギンレーらをはじめとする後の世代の写真の流れに大きな影響を与えた写真家の自伝的写真集として興味深い一冊。

タイトル

ジャック・ピアソン『The Hungry Years』

出版社

Damiani

価格

5,760円+tax(輸入書籍につき円価は変動)

発行年

2017年

仕様

ハードカバー/250mm×210mm/104ページ

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=123105397

Shelf
外苑前にあるブックショップ。写真集を中心とした洋書を専門に取り扱っており、店内には希少な本から絶版書までさまざまなジャンルの写真集が所狭しと並べられている。

〒150-0001
東京都渋谷区神宮前3-7-4
tel / fax: 03-3405-7889
http://www.shelf.ne.jp/