LUMIX MEETS BEYOND 2020
BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS #5 TOKYO

過去最高の来場者数となった東京展レポート

AREA

東京

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IMA gallery

アムステルダムでも注目を集めた「LUMIX MEETS BEYOND 2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS #5」展が、次なる巡回先である東京でも開催された。TOKYO ART BOOK FAIRとの連携もあり、天王洲アイルに移転オープンしたIMA galleryの新しい船出にふさわしい盛況な皮切りとなった。オープニングレセプションや作家とアジアの写真関係者との交流会、また展覧会の見所などをピックアップしてレポートする。

文=IMA
写真=浜田啓子

10月6日(金)〜15日(日)に、「LUMIX MEETS BEYOND 2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS #5」(以下、「BEYOND 2020」)の東京展がIMA galleryで開かれた。このプロジェクトはパナソニック株式会社 / LUMIX特別協賛のもと、日本人アーティストを国内外へと発信していくというコンセプトで、IMAメディアプロジェクトが毎年開催しているグループ展となる。5回目の今年は、平澤賢治、菅野恒平、白井晴幸、上田順平、矢島陽介、山谷佑介の6名が参加。さらに今年から、過去の実績や、これからの継続性、芸術文化に寄与することなどを評価されて文化庁の後援を得ることとなった。

BEYOND 2020


東京展会場のIMA galleryは、六本木から天王洲アイルに居を移すこととなり、「BEYOND 2020」が移転後初めての展覧会となった。新しいギャラリーは、川沿いのウッドデッキに窓が設けられ、天井が高く開放感あふれる展示スペースとなっている。「BEYOND 2020」では、隣接するように作られた新しいイベントスペース「アマナスクエア」も併せて展示空間に用いることで、空間の広さを活かした大きな作品たちが存在感を放っていた。ギャラリースペースの横には、厳選した豆を使用した香り高いコーヒーをテイクアウトできるIMA Cafeもオープンした。

BEYOND 2020


会場である天王洲アイルは、寺田倉庫が主体となって多様な事業を手がけていることで、アートの街としてのポテンシャルが高まっており、いま東京で注目が集まるエリアだ。会期中には同じくアジア最大級のアートブックフェアであるTOKYO ART BOOK FAIR(以下、TABF)が開催された。TABFの会期中は、「BEYOND 2020」を含めた連携イベントの会場間を人が絶えず往来しており、街全体がアート好きでにぎわうこととなった。

IMA gallery


近隣エリアで開催されていたTOKYO ART BOOK FAIRのオープニングにあわせて、会期初日にはレセプションパーティーが開かれた。会場には多くの人が駆けつけ、一堂に会した参加作家たちは、観客と作品についての意見を交わして交流を深めていた。ときにはスペシャルゲストとして作家自身がDJを行う姿も。終わりまで客足は途絶えることなく、天王洲アイルの夜は更けていく。

BEYOND 2020


週末にはTABFで来日したアジアのパブリッシャー、キュレーターを招き、出品作家とのアットホームな交流会が開かれた。お互いの国の写真文化に関して知らないことも多かったが、作品を見せ、話すことで身近になり自然と通じ合う。写真の話題になると、参加者たちは熱心に写真への想いを語り始める。帰り際にも作品集を丹念にチェックし、交流を深める姿も。写真は言葉の壁を越え、また写真がお互いやお互いの文化をつなぐ架け橋になる、そういった可能性を大いに感じる会となった。

BEYOND 2020


IMA gallery

左は山谷佑介、右は白井晴幸による展示


今年は、「ポストトゥルース時代のポートレイト」というテーマのもと、それぞれの作家の視点によって現代におけるポートレイトが探求された。

平澤賢治による展示風景

平澤賢治による展示風景


会場外からも目を引く、色鮮やかな作品は平澤賢治の「PLAY FACE」。サーモグラフィカメラを使い人のさまざまな表情を写したもので、感情が色となって表れている。一方でサーモグラフィの対象温度数値を記述した「FIGURE」は、数字によってポートレイトが浮かび上がり、まったく異なる抽象的な表現に昇華させている。ひときわ目を引く大型の作品は、菅野恒平による彼自身のアイデンティティを被写体に投影したインナーセルフポートレイトの数々。普段は見えない撮影者自身のアイデンティティについて考えさせられる。矢島陽介の「anonymous works」は、「BEYOND 2020」のメインビジュアルにもなった顔の見えないポートレイト。遠近感の失われた背景と相まって、宙づりになった人と場所の関係性を浮き彫りにしている。

左は菅野恒平、右は矢島陽介の展示風景

左は菅野恒平、右は矢島陽介の展示風景


すぐ横にあるのは、一転して妖しい色を放つ街を写した山谷佑介の「Into the Light」。乾いた街の表情の中にも生を感じ取りたいという山谷のささやかな欲望が、赤外線カメラを使用することで美しく表現されている。白井晴幸の「インビジブルマン」に映るのは、異郷の地の住民を想起させる全身ペイントの奇妙な男。闇に包まれた森の中に光るその男は、SF的でありながらも実在して写真の中に生きているという事実を突き付けられ、考えさせられる。最後に待つドローイングとスケッチ、写真による複雑な構成の展示は上田順平の「Picture of My Life」。彼の父による絵や家族写真、そして上田自身が撮った今の家族写真が並び、上田によって組み立てられることで、家族の愛あるまなざしがそこに溢れているようだった。

上田順平による展示風景

上田順平による展示風景


会期中の来場者は述べ2,000人を数えた。六者六様の作品は大勢の観客たちに、いまを生きる中でそれぞれが真実を見つけようとすることの強さを教えてくれたのではないか。

▼東京展
会期

2017年10月5日(木)~15日(日)
THE TOKYO ART BOOK FAIRのオープニングレセプションにあわせて開催

会場

IMA Gallery(東京)

時間

11:00~19:00

URL

http://beyond2020.jp/