Interview
Michael Mack

世界の写真集マーケットを牽引するマイケル・マックが語る、出版人としての20年の軌跡と哲学。

Interview Michael Mack

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世界の写真集マーケットが活況を呈し、いわゆるスモールプレス(インディペンデント出版社)が増え、ダミーブックアワードのような写真集賞が増えている昨今、その潮流にドライブをかけたキーマンといえば、このマイケル・マックを置いてほかにいないだろう。名出版社スタイデル社でキャリアを積んだ後に独立、以来、写真集出版のトップを走り続けている人物だ。彼の本作りにおける写真家選び、デザイン、装丁、ビジネスモデル。その確かな目と実績が評価され、今年から、権威ある写真雑誌「British Journal of Photography(BJP)」の写真賞「International Photography Award(IPA)」の審査員を務めることになったマックが、写真集制作に込める想いと今日に至るストーリーを語った。

article coordinate by twelvebooks
Text: Tom Seymour
Translation: Yuka Katagiri
British Journal of Photography, Published on 4 November 2016より

Micheal Mack Photo by Torbjørn Rødland / Courtesy of Mack Books

Micheal Mack Photo byTorbjørn Rødland / Courtesy of Mack Books

イギリスの写真雑誌『British Journal of Photography(BJP)』が主催する国際的な写真コンクール「International Photography Award 2017(IPA)」の審査員の一人であるマイケル・マックは、ジンバブエで少年時代を過ごし、ヨークシャーで学生生活を送った。ドイツの出版社「Steidl」のディレクターとして17年間にわたり活躍した後、2011年ロンドンで自身の出版社「MACK」を設立し、写真界を牽引する出版社へと成長させた。写真集、中でも新進気鋭の作家を世に送り出す上では、最も重要なパブリッシャーとして世界的な注目を集めている。

The Swamp by Sofia Barges

FIRST BOOK AWARD 2016 WINNER: The Swamp by Sofia Barges

彼の設立した若手写真家のための「First Book Award」は、若手アーティストなら誰もが夢見る賞であり、受賞者には作品を最高のクオリティの写真集として「MACK」から出版する機会を得るだけでなく、ロンドンの美術館「サイエンス・ミュージアム」内の「メディア・スペース」での展覧会も約束されている。同賞では、これまでにアン・ソフィー・メリーマン(2012)、ポール・サルべソン(2013)、ジョアンナ・ピオトロヴスカ(2014)、キーラン・オグ・アーノルド(2015)、ソフィア・ボルジェス(2016)が受賞している。その知識と経験を買われたマックは、創刊160年を誇る写真雑誌『British Journal of Photography(BJP)』が主催する写真賞「International Photography Award(IPA)」の審査員として今年から参加することとなった。

International Photography Award

IPAの審査に携わることについて、マックは「自分の仕事の中で最もワクワクさせられるのは、さまざまな新人作家の作品に触れる機会を得られることです。彼らの作品群の中に、現在の写真の世界のルーツを見出すことができますし、最新の大きな流れを感じることもできます」と語る。

「とはいえ、アーティストの汗や血と涙の結晶である作品を、客観的な視点から判断しなくてはならないので、審査にはいつも頭を悩ませます。どんなに厳正な審査をしたとしても、それは自分の思うところでしかなく、結局のところ独断にすぎないのではないかと感じることもあるからです」

「ジャンルを問わず、コンセプトから作品の見せ方まで一貫してアーティストのアイデアがはっきりと打ち出されているものに惹かれます。当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、そのような作品にはなかなか出会えないものです」

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