Interview
Gerhard Steidl

アートブック出版の鬼才が、日本でダミーブック賞を創設!ゲルハルト・シュタイデルが伝道する「写真集の可能性」。

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Interview Gerhard Steidl

さて、そのゲルハルト・シュタイデルが、東京アートブックフェアとチームアップし、今秋、「シュタイデル・ブックアワード・ジャパン」を設立した。これは、シュタイデル社のアワード・プロジェクトの試金石として、今春シンガポールで開催された「シュタイデル・ブックアワード・アジア」に続くものであり、“世界中でシュタイデル・ブックアワードを設立する”というシュタイデルの夢の第一歩となるものだ。

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720冊にもおよぶ応募作品の審査のため、1泊2日という弾丸スケジュールで来日したシュタイデルは、アワード設立の目的をこう語る。

「世界中の若いアーティストたちのアイデアを知ること、そして彼らとつながること。それが、私がブックアワードを設立する最大の理由です。シュタイデル社はこれまで数多くのブックフェアに参加してきましたが、(本の営業ではなく)本づくりに情熱を注ぎ続けてきた私にとって、そこは退屈な場所でしかありませんでした。私は、ヴィジュアルブックのあり方、そしてその可能性をもっと拡張したい。ロバート・フランクも、若き日のダミーブック作りを通して、自らの創作活動の重要な位置に写真集づくりを据えるようになりました。そのことを、私はいまの若い人たちにも体験して欲しいのです。つまり、自分の手で本をつくることにより、本という形式がどれほど表現メディアとして可能性を持っているかを実感してもらいたいのです」

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ブックアワードで見事グランプリを獲得したアーティストは、シュタイデル・ヴィレッジを実際に訪れ、シュタイデルとともにアイデアをブラッシュアップさせながら、シュタイデル流の本づくりのプロセスを学ぶことができる。そして最終的には、シュタイデル社から作品集を出版し、世界に流通させるいう、またとない機会を得ることができるのだ。

「私は、ただ学びたいだけなのです。私にとっても初めての試みとなるこのアワードを通して、日本の文化を学び、その文化の中で育った若いアーティストたちと仕事をすることで、彼らの考え方を学ぶことができます。それは教育的なプロセスであり、私とアーティスト、互いの文化をコネクトすることでもあります。本は、あくまでその結果なのです」

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彼がいつもそうであるように、アワードにはカテゴリーの設定もなければ、審査基準と呼べるようなものは一切ない。完全にオープンマインドだ。

「あえてひとつ基準を述べるとしたら、コマーシャルな成功を約束するような本には興味がないということです。新しいアイデアがあり、なにかを提起していて、そして私自身に、新しいインスピレーションをもたらしてくれるような本を世界に届けること。それが目的なのですから。本の形態をしたコンセプチュアルアートであることが重要です。それが最終的に“売れる”ならば、そんな素晴らしいことはありませんが、本づくりのゴールが商業的な成功に依拠したことは、私のキャリアにおいて一度たりともありません」

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