次の展示室のテーマは「パフォーマンス」。の『鎌鼬』からの作品群などが並んでいるが、何よりも 細江英公作品が目立つ。下半身をさらけ出し、顔に着色して名画を再現したセルフポートレイト作品「少年1、2、3」は、性的、人種的タブーに敏感なアメリカで見せるには十分刺激的だ。一方、「私の妹のために/シンディ・シャーマンに捧ぐ」はパロディのパロデイとして面白く映ることだろう。森村作品が連なっていることに、写真を現代美術の一部としてとらえるアメリカ美術の姿勢がうかがえる。 森村泰昌
以上が日米の写真にまつわる溝を埋めるイントロの役目を果たし、以降はゼラチン・シルバープリントあるいはカラープリントを主とした、オーソドックスな展示が続く。テーマは「都市」「室内」「地方」「私的写真」「災害」「日本の外」。日本の戦後の変遷がコンパクトに抽象化されたタイトルだ。これらのキーワードを縦軸にしながら、鑑賞者は写真集も含めたさまざまな表現方法に触れることができる。「災害」は、もちろん3.11関連の写真を集めたもの。「日本の外」というテーマでは、日米の写真界をつないだや日米を行き来する 石元泰博を中心に、主に海外を拠点にして活動している作家がフィーチャーされている。 杉本博司
Lieko Shiga, Tomlinson FC, from the series Lilly, 2005; San Francisco Museum of Modern Art, gift of the Kurenboh Collection;
© Lieko Shiga
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女性作家の大躍進
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。