箱根の森で、ロニ・ホーンの作品に出会う。
国内初の大規模個展が開催中

箱根にあるポーラ美術館で「ロニ・ホーン：水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる？」が2022年3月30日（水）まで開催中。美術館でのロニ・ホーンの個展は国内初となる。

ロニ・ホーンはこれまでに一貫して「自然」をモチーフに写真や彫刻、ドローイング、本など、多岐にわたる作品を制作している。人里離れた辺境の風景を求めて、1975年から現在までアイスランドをくまなく旅してきた経験の中で感じた「孤独」は、作家の人生と作品に大きな影響を与えているという。

本展では、1970年代の初期の作品から、代表作である写真シリーズ「あなたは天気パート2」（2010-2011年）のほか、巨大なドローイング作品や高さ約3メートルの大型の平面作品、さらには近年の代表作である「ガラス彫刻」シリーズの立体作品9点などが展示される。「あなたは天気パート2」は、アイスランドの温泉で、6週間にわたって女性の表情を記録し続けたもの。展示室では、真っ直ぐな視線を投げかける100枚ものポートレイトが四方を取り囲む空間で作品と向き合える。天気のように移り変わるひとりの女性の100の表情からは、同じように見えるものの中にこそ、絶え間ない変化が潜むことに気づかせてくれるだろう。

ひとつの概念があらゆる作品へと形を変える様は、環境や周囲との関わりによって姿を変える「水」を想起させる。水のようにしなやかに多様な解釈を受け入れ、川のように静かに本質を見つめ制作を続けるホーンの約40年間の軌跡をたどることができる本展。箱根の豊かな森の中で感じるホーンの「孤独」と自然と向き合うひたむきな姿勢に触れる鑑賞体験は、この時代を生きていく私たちにとってかけがえのない時間となるに違いない。