写真家・伊丹豪の個展「a plan for all things」が、2026年10月3日から27日まで、東京・神楽坂のCAVE-AYUMI GALLERYで開催される。本展では、すべて自身の自宅で撮影した新作を発表。会場デザインを建築家の板坂留五が手がける。
伊丹はこれまで、画面内のすべてにピントを合わせる「全焦点」の写真を通して、写真を「見ること」と「撮ること」の関係を考察してきた。被写体の一つだけを際立たせるのではなく、画面に存在するものを等しく鮮明に写すことで、鑑賞者の視線に無意識のうちに生まれるヒエラルキーを揺さぶる。一方、その写真は鮮やかな色彩や大胆な構図にも特徴があり、鑑賞者は視覚的な面白さに引き込まれながら、次第に「何が意図され、何が偶然なのか」という問いへと導かれていく。
今回、伊丹が被写体とするのは、自宅にある家具や日用品など、ごく身近なものだ。それらを選び、動かし、配置することで画面を構成していく。その背景には、過去に見てきた写真や絵画、美術の構造を、生活空間に存在する物の配置へと置き換える行為がある。撮影を終えれば配置は解体され、実際の空間から消えてしまう。写真の中にだけ、そこに存在した物と、すでに存在しない一時的な関係性が残される。
展覧会タイトルの「a plan for all things」には、「plan=計画」と「plane=平面」という二つの意味が重ねられている。物を選び、配置して撮影するという「計画」と、それらすべてが同じ密度で定着される写真という「平面」。美術からの引用も日用品も、作為も偶然も、一枚の表面では等価な存在として並ぶ。
「写真は目の前を複製することしか出来ない」と伊丹は語る。だからこそ、何を写し、どのように配置し、どの技術によって複製するのか。その選択の積み重ねに、写真を撮る行為の誠実さを見いだしている。作品の中で何が重要なのか、何が偶然なのかという答えはあえて明示されない。判断は見る側へと委ねられ、「何を見るか」という行為そのものが、私たち自身の価値判断を浮かび上がらせていく。
さらに本展では、これまでも建築家やデザイナーらとの協働を行ってきた伊丹の姿勢を引き継ぎ、板坂留五が展示空間を設計する。板坂は新たな造形を加えるのではなく、「しんとした空気の部屋」をつくり、鑑賞者が写真へゆっくりと近づいていける空間を構想。ギャラリーにもともと存在する壁や床、躯体の凹凸と伊丹の写真を組み合わせることで、写真に表れる独特の物の捉え方を空間へと拡張する。
| タイトル | 伊丹豪「a plan for all things」 |
|---|---|
| 場所 | CAVE-AYUMI GALLERY(東京都新宿区矢来町114 高橋ビルB2) |
| 会期 | 2026年10月3日(土)〜27日(火) |
| 時間 | 12:00〜19:00 |
| 休み | 水・木曜日 |
| 料金 | 無料 |
| URL | https://www.nest-a.tokyo |
