神奈川県横須賀市にあるカスヤの森現代美術館で、滝沢広「オブジェに指紋」展が6月20日(日)まで開催中。
滝沢は、「物質」を写真でとらえることによって「イメージ」の世界に引き込み、イメージ化された像を再構成し新たな支持体に定着させる手法で、イメージと物質の境界を行き来する作品を手掛けてきた。
本展で展示される「Fingerprinted Objects」シリーズは、粘土を立体的なイメージを記録する媒体としてとらえ、指紋採取のために使用。イメージを掴むように粘土に握り圧をかけ、新たな形状へと変化させた造形を、滝沢は写真によって記録した。インクジェットプリントの平面上に定着させることで、「指紋」は本来のスケール感を失い、物質からイメージへの変換が行われる。そのとき観賞者は、オブジェの感覚を確かめるかのように脳内で補完し、立体化を試みるのだろうか?また、動画作品も同時に展示。三次元を二次元に変換しつつ、これまで写真作品で追求してきた「物質」と「イメージ」の関係に「時間」という空間の要素が加わり、写真表現から一歩踏み込んだ広がりを感じられるだろう。
「写真はオブジェになりうるのか」という滝沢の新たなる表現の拡張をぜひ目撃したい。
タイトル | 「オブジェに指紋」 |
---|---|
会期 | 2021年4月3日(土)~6月20日(日) |
会場 | カスヤの森現代美術館(神奈川県) |
時間 | 10:00~18:00 |
休廊日 | 月~水曜 |
URL |