今年10月、2020年から21年に撮影した写真約500点を収録する『DEVENIR』を刊行したトヤマタクロウ。タイトルは、フランス語で「~になる」「~に変わる」を意味する言葉で、哲学者ジル・ドゥルースが発展させた概念に由来する。撮影と編集を同時進行で行い、どんどん増え続ける写真を本にまとめ上げていく過程で自然と複数のシリーズが生まれたという。最終的には、「CAMERA OBSCURA」「ERROR」「PORTRAIT」「OBJECT」 「 [[ ]] 」「2020」「MY FUTURE」の7つのシリーズが収録された。撮ってはその写真を分類するという行為を繰り返して作られた、トヤマの知覚の変化や思考の変遷を俯瞰する1冊である。
本書の装丁においてはシリーズ毎にサイズや紙の種類、ページ数が異なり、裁ち落としもあれば、複数の写真をランダムに配置したレイアウトもあるため1冊の中でシリーズの展開がリズムよく、明確に示されている。その一方、境界線に不思議とゆらぎがあり、シリーズ同士の関係性やゆるやかなつながりが、写真の見方が常に変化することを受け入れる余白を生み出し、それぞれのその時々の感覚で鑑賞できる軽やかさが心地よい。
そして本書の刊行に伴い、11月20日(土)から浅草のインテリアギャラリー・es quart にて個展「DEVENIR 2021/11/20 – 12/05」が開催される。写真集『DEVENIR』より「ERROR」「OBJECT」 「 [[ ]] 」の3シリーズを中心にインスタレーションを構成するとのこと。また、そのほかにも大竹雅生(ミツメ)の音楽を用いた初の映像作品も展示される予定だ。写真集でも実験的な試みに挑んだトヤマが、今度は空間を使ってどのような鑑賞体験をもたらしてくれるのか期待が高まる。
写真集の特設サイトで公開されている、トヤマとグラフィックデザイナー加瀬透、本書を装丁した米山菜津子による鼎談にて、制作過程や写真集に込めた思いなどが語られているので、そちらも要チェック!
タイトル | 「DEVENIR 2021/11/20 – 12/05」 |
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会期 | 2021年11月20日(土)〜12月5日(日) |
会場 | es quart(東京都) |
時間 | 12:00〜20:00 |
休館日 | 月曜 |
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