大西香澄個展「Contents of absence」新作のインスタレーション、映像、ドローイング、テキストなどで構成

大西香澄個展「Contents of absence」が、Token Art Centerで8月14日（日）まで開催中。

現代社会の中で大西自身が感じる所在なさ、不安、あるいは社会認知の困難。大西はそれらと向き合い、この複雑な世界の手触りを確かめるように、音声、機械人形、映像が連動するインスタレーション作品や、それらを舞台装置のように用いたパフォーマンス作品として表現してきた。大西が感じる不安や所在なさとは、帰属する場所としての家庭、会社、国家などの組織へと自身が組み込まれることに対する抵抗と羨望の狭間にいる、その存在の不安定さに根差しているのではないかと話す。その根源的な不安は、真に自由であることと背中合わせであり、それはつまり社会と関係する私たちの実存に関わる問題でもある。

本展タイトルは「Contents of absence」。大西は前述した自身の不安や所在なさについて考えるうちに、それらの奥に「不在」あるいは「虚無」が存在するのではないかと考えるようになった（大西作品ではこれまでも、物語や質量から切り離された「不在」としてのがらんどうの家の構造体が度々登場している）。さらに、大西は自身が言葉ではなくイメージを頼りに思考する傾向があり、それは自身の存在の不安定や所在なさ、ひいては「不在」ゆえに偶像（≒イメージ）を求めるためではないかと仮定する。つまり、イメージが生み出される根源には「不在」がある、という仮定。イメージを生み出すその「不在」とは何か。何が「不在」なのか。イメージはどこから来て、それを扱うということは何を意味するのか。

本展は、イメージと不在、そしてそれらの関係についての新作のインスタレーション、映像、ドローイング、テキストなどで構成される。