コム デ ギャルソンの2023年DM(ダイレクトメール)にジェイミー・ホークスワースが起用された。同社DMは、インフォメーションが書かれた単なる1枚紙ではなく、ふんだんにヴィジュアルを用いた豪華な冊子となっている。
1号目は、ホークスワースがアフリカとアジアを旅した際のドキュメントで構成。宣伝は「2023年春夏のコレクションがそろいます。どうぞおでかけください」と一言のみ。被写体がコム デ ギャルソンを着用しているわけでもない。ホークスワースの写真から2023年のコム デ ギャルソンの意思を伝えようとしているのだ。
同社は顧客やプレス向けに配布する年間DMにアーティストを起用している。決定するのはコム デ ギャルソン社長兼デザイナーの川久保玲だ。今までルネ・ブリ(写真家)、クリス・マルケル(映画監督)、JR(現代美術家)、アイ・ウェイウェイ(現代美術家)、大友克洋(漫画家)などが誌面を彩ってきた。ホークスワースは、同社デザイナー渡辺淳弥によるジュンヤワタナベ マン2022年春夏コレクションのモチーフとなっており、コム デ ギャルソンと親交がある写真家だ。
捨ててしまうDMではなく、取っておきたくなるアートブックや写真集のような1冊に仕上がっているコム デ ギャルソンのコミュニケーション媒体。情報伝達においてデジタルが一般的になった現代において、とても希少に感じる。触り、めくり、観音扉となるページを開く。その時飛び込んでくる大きなヴィジュアルはスマートフォンでは全く得られない体験となる。このアナログならではの強さを優先するのがとてもコム デ ギャルソンらしい。