4月15日(土)から開催中の「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭 2023」。京都の街中が展示会場となる本写真祭は回を重ねるごとに好評を博し、2022年は19万7691人が来場、これまでに約135万人が来場した。2023年は「BORDER」をテーマに多彩なプログラムが京都市内の名刹や美術館、ギャラリーなどに展示されている。作品と伝統建築との融合も見どころのひとつだ。ここでは特にIMA読者におすすめの6つの展示をピックアップ。ぜひゴールデンウィークなどに足を運んでほしい。
文=IMA
目次
- 1. 石内 都・頭山ゆう紀「A dialogue between Ishiuchi Miyako and Yuhki Touyama|透視する窓辺」With the support of KERING’S WOMEN IN MOTION 会場:誉田屋源兵衛 竹院の間
- 2.山内悠「自然|JINEN」With the support of FUJIFILM 会場:誉田屋源兵衛 黒蔵
- 3.高木由利子「PARALLEL WORLD」Presented by DIOR 会場:二条城 二の丸御殿 台所・御清所
- 4.山田学「生命 宇宙の華」Presented by Ruinart 会場:HOSOO GALLERY
- 5.ボリス・ミハイロフ「Yesterday's Sandwich」 会場:藤井大丸ブラックストレージ
- 6.ココ・カピタン「Ookini」With the support of LOEWE FOUNDATION and HEARST Fujingaho ASPHODEL 会場:京都市内3ヵ所
1. 石内 都・頭山ゆう紀「A dialogue between Ishiuchi Miyako and Yuhki Touyama|透視する窓辺」With the support of KERING’S WOMEN IN MOTION 会場:誉田屋源兵衛 竹院の間
KYOTOGRAPHIEの定番会場のひとつである誉田屋源兵衛の竹院の間では、石内都と頭山ゆう紀の女性写真家二人展が開かれている。石内は母の遺品を撮影した「Mother’s」シリーズ、頭山は友人の死をきっかけに撮影を始めたシリーズ「境界線13」と祖母を看取るまでの期間に撮影した最新作を展示。頭山が部屋から撮ったモノクロームの庭の写真に、石内の母の遺品や頭山の家族の写真が並ぶ。ともに肉親の死を収めた作品が重なる展示は、美しくも悲しくもある。
2.山内悠「自然|JINEN」With the support of FUJIFILM 会場:誉田屋源兵衛 黒蔵
同会場では奥の黒蔵も忘れずに足を運んでほしい。山内悠「自然|JINEN」は、屋久島の自然をとらえた。同地に1カ月滞在することを9年続けて撮った自然は力強く、美しく、怖さもある。暗闇に掲げられた樹や鉱石の写真は森の奥、洞窟の中を追体験するようだ。上階へ上っていくと明るく、パァッと開ける空間に展示された岩の写真など、展示手法も自然を体験するようで面白い。
3.高木由利子「PARALLEL WORLD」Presented by DIOR 会場:二条城 二の丸御殿 台所・御清所
服と人の境界を撮り続けてきた高木は二条城の広大な空間を用いて圧巻の展示を見せる。会場構成を担ったのは建築家の田根剛。東京都現代美術館で開催中の「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展で作品、図録を撮影したのが記憶に新しい高木によるディオールの撮り下ろしやイッセイ・ミヤケ、ジャンポール・ゴルチエ、ヨウジヤマモト、コム デ ギャルソンなどの過去のファッション写真は、モード好き必見。障子に貼られた作品群は光により表情を変え、人と衣服の境界を表現するかのようだ。
4.山田学「生命 宇宙の華」Presented by Ruinart 会場:HOSOO GALLERY
シャンパーニュメゾンのルイナールのアート・レジデンシー・プログラムに参加し、2022年秋に渡仏し、シャンパーニュ地方ランスで作品をつくった山田。ルイナールの地下貯蔵庫「クレイエル」からインスパイアされ、シャンパーニュの製法を生命の循環とリンクさせた作品は彩り豊かで幻想的な作品。特に万華鏡は今回のプログラムの中でも白眉の作品。アクリルにプリントした写真を破砕し、フラスコに入れ万華鏡として投影する独自のアイデア、教会のステンドグラスのように美しい万華鏡映像はとにかく感動する。今年一番の映えスポットだろう。
5.ボリス・ミハイロフ「Yesterday's Sandwich」 会場:藤井大丸ブラックストレージ
©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2023
スライドフィルムをベッドの上に放り出して置いたら2枚がくっついてしまったという偶然から生まれた「Yesterday’s Sandwich」。シュールで詩的であるが、当時のソヴィエト社会の二面性、矛盾を訴えかける。これらのスライド映像が、BGMのピンク・フロイドの名曲『狂気』とともに流れる。ソファで夢幻的ヴィジュアルと音楽世界に浸っているとトリップするようだが、だんだんしんみりしてくる。それは人間社会の矛盾と狂気にのまれたためか。
6.ココ・カピタン「Ookini」With the support of LOEWE FOUNDATION and HEARST Fujingaho ASPHODEL 会場:京都市内3ヵ所
ファッション、アートの領域をまたぐスペイン人フォトグラファー、ココ・カピタンはアーティスト・イン・レジデンスとして2022年10~12月、京都に滞在して作品制作を行った。ティーンエイジャーにフォーカスし、釜師の子息、禅僧を目指す学生など伝統を背負う10代から大学生・高校生など多くを被写体に収めた。伝統・制服という縛りがありつつも生き生きとした表情をカメラに向ける彼ら・彼女らは未来を感じさせてくれる。祇園のASPHODEL、三条烏丸の大西清右衞門美術館、東福寺塔頭の光明院と離れた3ヵ所で展示されているため、巡って京都散策を楽しもう。
タイトル | 「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭 2023」 |
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会期 | 2023年4月15日(土)~5月14日(日) |
会場 | 京都市内19カ所 |
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