浜昇「From Scratch」展が、9月5日(火)から新宿・photographers’ galleryで開催される。
1960年代末の学生運動や70年安保闘争に象徴される「政治の季節」が終焉を迎え、大衆消費社会に突入してゆく80年代との狭間にあった1970年代後半、浜昇は新宿を中心に街の至る所に残されたスクラッチ(傷)を記録した写真を繰り返し発表するようになる。そしてそれらの写真は、日本中がバブル景気に沸く1990年、写真集『フロムスクラッチ』として浜自身が設立した出版社・写真公園林から刊行される。
本展では、写真集『フロムスクラッチ』の編集・印刷に際して制作された、写真集未収録カットを含むプリントを現在の浜の視点から再構成し展示。それらの写真には、ショーウインドウや外壁、看板や地面などに残された傷が、汚れや染み、反射や影、ときにはガラスの向こう側の景色と分かち難く渾然となって写し出されている。キャプションによって指し示される地名や撮影年に反して、写真には具体的な場所や時代を読み取るための手掛かりはほとんど残されていない。撮影から50年近くの時間が経過し、傷をつけたものも傷をつけられたものも喪われてしまったであろう現在にあって、ドキュメントとして残されたスクラッチの写真から再開される思考はどのようなものか、その再考の場として本展が企画された。
タイトル | 「From Scratch」 |
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会期 | 2023年9月5日(火)~9月19日(火) |
会場 | |
時間 | 12:00~20:00 |
URL |