東京・九段下のGOTTA九段下で6月7日より山根晋の写真展が開かれる。石を通して、見えないものと見えるものを追究する。
展示では、写真作品に加えて白いテーブルの上に実際の石を置き、見えないもの(写真)と見えるもの(石)の循環を空間体験としてつくり出す。
ステイトメント
早朝、写真機を携えて海へ歩いてゆく。日中は観光客で溢れかえる七里ヶ浜と哲学者の⻄田幾多郎が晩年を過ごした稲村ヶ崎のあいだ、距離にして 300 メートルくらいだろうか、波打ち際に小さな石が散在する場所がある。ファーストカットを想い返してみると、僕はその石に”存在のカタチ”のようなものを感じ取ったらしい。人間が想像し得るスケールを遥かに超えた時間をはらむ海の終わりで、波は寄せては返すことを無限に向かって繰り返している。それを直接的な因果として、”存在のカタチ”は刻々コロコロと流転する。朝陽の光はその現象を意識の版上にはっきりと刻む。またしても撮ったというよりかは撮らされた写真には、その断片でもあり全景でもあるイメージが遷った気がしている。写真は流れゆく万物を静止させることができる。それは事物に沈黙を与えるとも言えるだろう。この機能というか力が、写真の誕生から今にいたるまで写真メディアに通底している一つの根源的な本質だと僕は考えている。そして沈黙に触れたとき、包まれたとき、見えるものによって見えないものが見えてきて、見えないものによって見えるものが見えてくる。
タイトル | 石 ishi / 見えるものによって見えないものが見えてきて、見えないものによって見えるものが見えてくる。 |
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会期 | 2024年6月7日(金)〜6月9日(日) |
会場 | GOTTA九段下(東京都千代田区九段南 2-2-8 松岡九段ビル 201) |
時間 | 13:00~20:00(日曜日は11:00~18:00まで) |
料金 | 無料 |