珊瑚の白化が導く平木希奈の幻想写真展

東京・御徒町の229GALLERYで2月20日より平木希奈（ひらきまな）の展示「筐はっか」が開催される。

開きは幻想的な世界観を撮る写真家。展示タイトルは珊瑚の白化現象から着想を得たもの。珊瑚の白化は、水温が上昇するなどのストレスから、共生関係が破綻することで起こる現象。そこからインスパイアされ、幻想的なシリーズに落とし込んだ。

【ステイトメント】
珊瑚の白化現象とは、ストレスがかかることによって共生関係にある単細胞植物を体から追い出してしまい、珊瑚の骨格が透けて白く見える現象です。
共生関係を取り戻し回復しなければ、やがて栄養失調に陥って死んでしまうのです。
破綻と緩やかな回復を繰り返して幾星霜、彼らは生きています。
人も様々な存在と共生・依存して生きていくのでしょうか。
あるきっかけによって、いとも簡単に崩れ落ち壊れてしまうこともあれば、知らず知らずのうちに内側から侵食されてしまうこともあります。
わたしは心を侵食されまいとして、自らを内側に仕舞い過ぎてしまうことがありました。
この度はそのような自分をまなざし、解放してやろうという試みです。
静かな破綻と回復を、深海と夜明けに写しました。
ところで、深海に生息する珊瑚が光るのは、共生生物に光を届けて光合成を促すためです。
この短い期間にわたしが届ける光が誰かの栄養になれば幸いです。