東京・飯田橋のRollは7月3日から写真家・名越啓介の個展「DEAR MY FRIENDS」を開催する。本展では、2000年代初頭のアメリカ西海岸で撮影された未発表作品を中心に、スクワッター(不法占拠者)たちとの共同生活を記録した写真群が約20年の時を経て初公開される。
名越啓介は1977年奈良県生まれ。19歳で単身アメリカへ渡り、各地で暮らす人々と寝食を共にしながら撮影を続けてきた写真家だ。以降もアジアや中東、アフリカなど世界各地を旅し、社会の周縁に生きる人々やマイノリティ・コミュニティへ深く入り込み、その内側から記録するスタイルを一貫して貫いてきた。『Familia 保見団地』では「写真の会」賞を受賞し、2023年公開の映画『ファミリア』の原作の一部にもなった。
本展の舞台は、名越が10代最後に訪れた2000年代初頭のアメリカ西海岸。当時、スクワッターと呼ばれる若者たちの存在を知った彼は、メルローズで出会った恋人同士のTrollとSuzyのもとへ身を寄せ、生活をともにしながら写真を撮影。その経験は後の制作活動の原点となり、世界各地で出会う「路上の友人たち」を撮り続ける現在の作風へとつながっていく。
展示タイトル「DEAR MY FRIENDS」は、20年という時間を経て当時の仲間たちへ向けられた手紙のようでもある。名越はステートメントで、「今はどこで何をしているのか? あの時の出来事は新しい過去として写真の中でずっと輝き続けている」と記している。写真は過去を保存するものではなく、現在もなお生き続ける記憶として存在していることを静かに示している。
本展で描かれるスクワッターたちは、社会制度の外側で自由を求めて生きる若者たちだ。しかし名越の視線は、彼らを社会問題として捉えることには向かわない。誰にも支配されたくないという意志、また会える保証はなくとも結ばれている友情や共同体への感覚を、親密な距離から記録している。その眼差しは、後年の『CHICANO』『BLUE FIRE』『DUNE』などに通底する、人と人との関係性への深い関心をすでに宿している。
| タイトル | 名越啓介 写真展「DEAR MY FRIENDS」 |
|---|---|
| 場所 | Roll(東京都新宿区揚場町2-12 セントラルコーポラス No.105) |
| 会期 | 2026年7月3日(金)〜21日(火) |
| 時間 | 13:00〜20:00 |
| 休み | 7月13日(月) |
| 料金 | 無料 |
| URL |
