東京・幡ヶ谷のgallery communeで、デンマーク・コペンハーゲンを拠点に活動するビジュアルアーティスト/写真家、Minh Ngoc Nguyen(ミン・ゴック・グエン)の個展「Silly Boy Syndrome」が、2026年7月17日から開催される。ベトナムにルーツを持ちながら西洋社会で生きる自身の経験をもとに、アイデンティティの揺らぎや文化的記憶を軽やかなユーモアと洗練された写真表現によって描き出す。
ミン・ゴック・グエンは、スウェーデン・ヨーテボリのHDK-Valandで写真の修士号(MFA)を取得し、デンマーク・メディア・ジャーナリズム大学でビジュアル・コミュニケーションを学んだ写真家・ビジュアルアーティスト。商業写真家としての経験を背景に、静物写真を軸とした作品を制作している。ポップカルチャーや広告の視覚言語を取り込みながら、東南アジアの日常的なイメージと現代のイメージカルチャーを交差させる作品で注目を集めている。
本展で発表される「Silly Boy Syndrome」は、自身のルーツと現在の生活とのあいだで生まれる不安や葛藤、繰り返し頭を巡る思考をテーマとしたシリーズである。タイトルは医学用語ではなく、アイデンティティをめぐる終わりのない自問自答を、どこか自嘲的なユーモアを込めて表現した言葉として用いられている。
作品には、どこか懐かしさを感じさせる遊び心のあるモチーフが登場する一方で、その画面は広告写真を思わせるクリーンで完成度の高いビジュアルによって構成される。しかし、グエンは広告が目指すような「完璧な完成形」をあえて提示しない。美しく整えられたイメージのなかにわずかな違和感やズレを残すことで、アイデンティティとは完成されたものではなく、絶えず変化し続けるプロセスであることを示唆している。
ベトナムにルーツを持ち、ヨーロッパで生活するグエンの作品は、移民やディアスポラを直接語るドキュメンタリーではない。むしろ、日用品や静物、ポップカルチャーの断片を通して、文化的な記憶がどのように呼び起こされ、組み替えられ、継承されていくのかを視覚的に探究している。その軽やかなユーモアの奥には、複数の文化圏を往還する現代的なアイデンティティへの問いが潜んでいる。
| タイトル | Minh Ngoc Nguyen「Silly Boy Syndrome」 |
|---|---|
| 場所 | gallery commune(東京都渋谷区西原1-18-7) |
| 会期 | 2026年7月17日(金)〜8月8日(土) |
| 時間 | 14:00〜18:00(土曜日・祝日13:00から) |
| 休み | 日・月曜日 |
| URL | https://ccommunee.com/ |
