長らく品切れとなっていた佐内正史の記念碑的写真集『生きている』が、『復刊 生きている』としてアップデートしたかたちで、青幻舎から2026年9月中旬に刊行される。
佐内の初写真集『生きている』は1997年4月に刊行され、決定的瞬間ではない、私写真でもない、誰も見たことがない写真群は大きな反響を呼んだ。その衝撃は次世代の写真家にも影響を与え、新しい写真の潮流を生み、写真史におけるエポックメイキングな出来事として記憶されている。『生きている』はその後版を重ねたが、写真集に使われていた用紙が生産中止となったことが原因で重版ができず、2007年の重版を最後にいまでは手に入れることができなくなっていた。そんな中、青幻舎は2025年10月に創立30周年を迎えるにあたって、メモリアルイヤーのスペシャル企画を実施。今では手に入らなくなってしまった本を復刊しようというプロジェクトが立ち上がり、読者からリクエストを募った結果、『生きている』の復刊を望む多くの声が寄せられた。
復刊にあたっては『生きている』のブックデザインを手がけた造本家の町口覚監修の元、新たな本文用紙選定のための印刷テストを重ね、ようやくオリジナルの代わりとなる用紙にたどり着いたことでプロジェクトが前進。印刷は当時の方法に拘り、製版フィルムを使用して版を焼き、油性インクで印刷を行った。一方、装丁に関しては表紙のイメージをアップデートし、復刊として生まれ変わった新しさのある仕上がりとなった。刊行から29年、写真の歴史に新たな一ページが加わる。
