IMA ONLINEの新企画として、4店舗の写真集の目利きが毎月おすすめ写真集を紹介するコンテンツがスタート。東京には、個性的なセレクトが光るブックショップが数多く点在する。その中で、アートに力を入れる大型書店や個性的なアートブックやZINEを扱うインディペンデントブックショップなど、写真集を扱う4店舗の書店員が、毎月おすすめの写真集を3冊ずつピックアップ。
セレクト・文=黒木晃(UTRECHT)
アーティスト・fumiko imanoによるミニサイズzine。2006年から2013年にかけてmac bookのphotoboothを使い、自宅で撮りためたセルフポートレートから200点以上をまとめた、小さいながらも充実の一冊。ある日、「知ってる?あなたがやっていることって”セルフィー”っていうのよ」と母親にいわれるまで、その言葉を知らなかったほど、自発的にセルフポートレートの手法を用い、継続して作品制作を行ってきた彼女。撮ることと撮られること。存在と不在。鏡写しの画面に向き合う孤独な作業でありながら、荒削りなDIYで作られる小さなzineには、YESとNOを同時に叫んでいるかのような、彼女の愛がつまっている。セルフポートレートの作品を首から下げるというアイデアも楽しい。
タイトル | fumiko imano『avant “selfie”』 |
---|---|
出版社 | 私家版 |
価格 | 1,500円+tax |
発行年 | 2017年 |
仕様 | Zine(透明のパスケースに収納)/65mm×75mm/40ページ |
URL |
俳優・太賀を、写真家・川島小鳥が約一年間にわたり東京や沖縄、台湾など、さまざまな場所で写しとった私家版作品集。今年7月には本書の出版に合わせ、ユトレヒトを含む都内3箇所で写真展も開催された。一人の被写体を媒介にしながら、そこにある季節や風景の変化、立ち現れる普遍的な感情までもを切り取る私小説のような語り口は、川島の写真集の魅力そのもの。いわゆるタレントの写真集に求められるような、太賀のファンの期待(?!)にも十分に応えつつ、彼のファンならずとも、自然と惹き込まれてしまう求心力を持った一冊。
タイトル | 川島小鳥『道』 |
---|---|
出版社 | 私家版 |
価格 | 2,315円+tax |
発行年 | 2017年 |
仕様 | ソフトカバー/210mm×148mm/208ページ |
URL |
十年以上にわたって撮り溜められたという日常のさまざまなシーンをまとめた、写真家・竹之内祐幸の作品集。ボーイフレンドや友人と過ごす何気ないひととき、街や旅先で出会ったカラスやリスなどの動物など、ささやかな風景がゆったりとしたリズムで配置される。本書は、デザイナー・藤田裕美が運営する出版レーベルFUJITAからの第二弾。ミントグリーンの紙にブルーのインクのみで印刷され、印刷がされていない見開きページと写真のページが交互に連なるという実験的な仕様。竹之内がとらえた柔らかな光をそのままに残したいという作り手の思いが、刹那的なイメージの美しさをより際立たせる。
タイトル | 竹之内祐幸『Things will get better over time』 |
---|---|
出版社 | FUJITA |
価格 | 3,000円+tax |
発行年 | 2017年 |
仕様 | ソフトカバー/241mm×180mm/168ページ |
URL |
UTRECHT / NOW IDeA
アート・デザイン・ファッションなどの書籍を取り扱う神宮前のブックショップ。
ギャラリーが併設された店内には、普段お目にかかることの出来ない国内外のインディペンデントパブリッシャーやアーティストのZINE、書籍などが多数並ぶ。
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前5-36-6 ケーリーマンション2C
tel: 03-6427-4041
12:00~20:00
月曜休み(祝日の場合は翌日)
http://utrecht.jp/
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。