構造物を創り、周囲の環境へ介入する、
ジェローム・ミン『OOBANKEN』

イギリスで写真を学び、現在南アフリカを拠点とするフォトグラファー、ジェローム・ミンの初作品集『OOBANKEN』がMACKより刊行。

ミンの人生や記憶、想像などの欠片を組み合わせ、不思議な立体作品やパフォーマンスの一場面を写した写真を通じて物語を組み立てている。作り上げた空間は周囲とは明らかに異なる性質を持ち、あたかもそこだけが壁のような何かで囲まれて孤立しているような、それでいて自ら進んで張り巡らせた境界線を越えたところに存在するものをじっと見つめているような印象を与える。

ミャンマー・ヤンゴンに住んでいる際に制作した本シリーズでは、ミンが早い段階から興味を持っていた構造物の制作や周囲の環境への介入といったテーマが昇華されている。ここに収められたイメージは、変化のただ中で、かつては隔絶していた空間、時間の流れが静止していた空間の中で制作された。

本書は、MACKが主催する過去に写真集出版経験の無い作家の出版支援を目的とする「First Book Award」の2019年グランプリ受賞に伴い刊行された1冊である。