今年3月、中国と台湾の巨匠作品を中心に扱う写真ギャラリーEach Modernが、台北中心部にリニューアルオープンした。ここで今月から開催されているのは、台湾を代表する写真家・鄧南光(デン・ナン-グァン)の「Beauty on a Summer Day」展だ。Each Modernはまた同時に森山大道の「Light Comes Again」展を中国の北京Light Society(光社)にて開催している。
鄧南光は1907年に台湾で生まれ、日本統治時代の台湾教育令改正により1929年に来日し、法政大学経済学部に入学。在学中カメラ部に所属していた鄧南光は台湾人として東京で写真を学んだ先駆者のうちの一人となり、帰国後は台北にスタジオ構え1950〜70年代の台湾写真界を牽引した。
Teng NanKuang, A Temple in Taipei, 1960 Gelatin Silver Print 20.5x30cm
「Beauty on a Summer Day」展では遺族の協力を得て、鄧南光が晩年1956年から1971年に撮影したヴィテージ写真を初公開。彼が “スパイカメラ” として愛用していたMinox IIISで撮影した写真の数々が11×14インチの大四切や小さなコンタクトプリントに印刷され、年代順に並べられている。東京の前衛写真運動の影響が感じられるものに加えて、平穏なスティルライフや風景写真など、よく知られている鄧南光の写真とはテイストの異なる作品が多く展示されているから注目だ。
一方、北京のLight Society(光社)で開催中の「Light Comes Again」展では森山大道のライトボックスやシバクローム、映像作品が展示されている。本展で森山が注目しているのは「写真、光、記憶、時間」の関係性。写真を「光と時間の化石」と捉える彼は例えば、ライトボックスによるレンダリング画像を通して記憶の断続性を表現している。これらはまた1970年代から現在における社会情勢やメディアの急激な変化を感じさせる作品となっている。
鄧南光の「Beauty on a Summer Day」展は7月15日(日)まで、森山大道の「Light Comes Again」展は8月15日(水)まで行われている。
タイトル | 鄧南光(デン・ナングァン)「Beauty on a Summer Day」 |
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会期 | 2018年6月9日(土)~7月15日(日) |
会場 | Each Modern(台湾) |
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タイトル | 森山大道「Light Comes Again」 |
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会期 | 2018年6月16日(土)~8月15日(水) |
会場 | Light Society(中国) |
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