30 January 2024

手仕事とクリエイティヴが融合する
イッセイ ミヤケ「IM MEN」の服作り〈PR〉

30 January 2024

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手仕事とクリエイティヴが融合するイッセイ ミヤケ「IM MEN」の服作り〈PR〉 | 手仕事とクリエイティヴが融合するイッセイ ミヤケ「IM MEN」の服作り

イッセイ ミヤケ社のメンズブランド「IM MEN(アイム メン)」は、同社のDNAである「一枚の布」をベースに現代の男性のためのリアルクローズを提案している。“リアル”と言っても単なるノームコアではない。その服は、知性と機能とサプライズに富み、着るとクリエイティヴな気分になる。2024年春夏シーズンでは、手作業による染色技法「ロウケツ染め」によるシャツがインパクトを放つ。その生地作りの現場である、京都の工場を訪れた。人の手と偶発性が生み出す抽象絵画のような生地は、アートとアーティザンの結晶だった。

撮影=竹澤航基
取材・文=IMA

“布”の追究を日常着に落とし込む「IM MEN」

IM MENは2021年春夏シーズンから始動。操上和美が撮影したファーストシーズンのヴィジュアルは、モデルにデザインユニット「GOO CHOKI PAR」を起用し、リアルとクリエイティヴが伝わる写真に仕上がっていた。そこから3年経った2024年春夏シーズンのテーマは「フルフィル」。生地を無駄にせず、耳(生地端のこと)まで使い切るコンセプトの下、創意を巡らしたメンズクロージングが揃う。

IM MEN 2024年春夏シーズンの「ROKETSU SHIRT」。© ISSEY MIYAKE INC.

IM MEN 2024年春夏シーズンの「ROKETSU SHIRT」。© ISSEY MIYAKE INC.

IM MENはいままで、折り畳めるジャケットやジャカード織りでダメージ加工を表現したデニムのセットアップ、平面から立体になるバッグ、板締め絞りのシャツなど一筋縄ではいかない衣服をリリースしてきた。一貫して通ずるのは手を動かすことと、布の表現の追究だ。

そうして趣向をこらした服は作り手の思考が感じられ、着ることでクリエイティヴなコミュニケーションをしているかのように感じる。取材した2024年春夏シーズンのロウケツ染めシャツは手染めにより、1点1点柄の出方が異なる。偶然も影響する染色技法は、デジタルプリントでは無い面白さに溢れている。


手仕事が生むロウケツ染めの美

では、ロウケツ染めとはどんな技法なのか?簡単にいうと次の通りだ。溶かしたロウを布に塗り、染色する。そうするとロウが塗られた部分だけ染まらず残る。そうして模様を描く。バリ島の民族衣装バティックもロウで模様を描いて染められている。手作業によるため、一気に大量生産できるわけではない。しかし、そこで生まれるアイテムは、どれも手作業の痕跡を湛え、力強さを放つ。

IM MEN 2024年春夏シーズンでは布全面にロウを塗り、ロウを割って布を染色する方法で独特の亀裂模様を出す。染め方を見てみよう。

1. 布にロウを引く

ロウが割れた亀裂が美しい。

ロウが塗られた生地はずっしり重い。

ロウは約80度で液体となる。また冷やすことで再利用可能となり、サステイナブルな染色技法だ。

取材した工場では1回の工程で、生地100mまでロウを引けるという。

まず布を液体状のロウに通す。そして水にくぐらせて冷やす。そうすると柔らかいコットンの生地がバリバリの固いシートのように変貌する。97cm間隔で畳み、畳んだ部分はロウが割れ、ロウケツ独特の模様の基となる。

2. 布に亀裂を入れる

すべて畳み終わったら、折った部分を手でグシャグシャと揉み、亀裂を入れていく。生地はロウにより固く、重くなっている。かなり力が必要な作業だ。また途中のフラットな部分も軽く亀裂を入れていく。


3. 染めて干して完成

亀裂に染料が入っていく。

染料は黒に見えるが、青。

染色は1回の工程で生地50mまで可能。

時々上げて染料の入り具合をチェックする。

亀裂を入れ終わったら、染色の工程だ。染料は気候により色が変わるため希釈を微調整して使用する。調色が済んだら布を染料に浸けていく。ただ、浸け置きではムラが起こるため、20分間折り畳みを繰り返し全体が均等に染まるようにする。生地は染料を吸うため、さらに重量が増す。休みなく重い生地を動かし続けるのは大変な作業だ。

染料を行きわたらせたら、風通しの良い場所で干して乾燥させる。乾いたらお湯に通してロウを落とし、晴れて生地が完成となる。


手仕事を強調するシャツのデザイン

一枚の布を感じさせるロングシャツはバサッと羽織りたい。左右ずらした亀裂模様がアクセントを生む。ロングシャツ¥88,000。© ISSEY MIYAKE INC.

白黒の普通丈バージョンもラインアップ。同様の直線的なシルエットで、前立てを比翼仕立てにし、更にミニマルな表情としている。シャツ¥63,800。© ISSEY MIYAKE INC.

この手仕事の結晶による生地を用いたシャツは、2種類のデザインが展開される。IM MENチームの担当者は生地を見てデザインを考えたという。そのためロウケツ染めを存分に楽しめるアイテムとなっている。柄の強さを見せるため、前後の身頃ともに生地幅100cmそのままを使用。カットも極力せず直線的でボクシーなシルエットとなった。テーマ「フルフィル」ともリンクするカッティングだ。ディテールは必要最低限。胸ポケットを廃し、目立たないようにサイドシームにポケットを穿つ。生地をそのまま纏っているかのように豊かな分量がロウケツ染めの存在感を強調する。

ロウケツ染めの歴史は古く、奈良時代から行われていたという。衣服の他、小物やのれんなど様々なテキスタイルアイテムに使用されている。しかし今回取材したように、100cm幅の布にロウケツ染めを施せる職人はそう多くないそうだ。国内産業の空洞化で、機屋や染色工場が廃業した例や、少子高齢化で技術の継承がとだえる例もある。美を生み出す職人技を失わないためのクリエイションが必要だとIM MENは考えているのだ。

日本の限られた高品質な手仕事に敬意を払い、現代的なモードへと昇華するIM MENの服作りは、リスペクトすべきものづくりだろう。ぜひ人間のアイデアと手が生み出した逸品を手に取ってもらいたい。1点1点異なるロウケツ模様の中から好みの柄を見つけるのもまた楽しいひと時だ。愛着が湧き、長く愛用するアイテムとなること間違いないだろう。

IM MEN Instagram アカウント
https://www.instagram.com/im_men_official/

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