12月19日、東京・四谷の紀尾井ホールにて音楽家・渋谷慶一郎のピアノソロコンサート「Keiichiro Shibuya Playing PianoーLiving Room」が開催される。渋谷のピアノ演奏会は約2年ぶりのこととなる。
単なる音楽コンサートではない。ステージデザインに建築家の妹島和世が参加。舞台上にはピアノとヴァイオリンの他、Living Roomと題するように妹島がこれまでに製作した家具や自身が所有するミース・ファン・デル・ローエやル・コルビュジエの家具などが配置。Living Roomとは、ニック・ワプリントンの同名の写真集『Living Room』からインスパイアされたタイトルという。写真、アート好きな渋谷らしいコンセプトだ。
ゲストにヴァイオリニスト石上真由子が出演し、渋谷とアンサンブルしつつソファで寛ぐ。ステージを出入りする仰々しさが無くなり、ある種のシアトリカルな緊張と弛緩を聴衆は鑑賞する。会場全体はフレグランスブランド「La Nuit parfum(ラニュイ パルファン)」による渋谷の楽曲『for maria』をテーマとした香りが満ちる。調香は和泉侃。和泉と言えば、今夏のDDDホテルでの中島大輔の写真と展示した香りのインスタレーションが記憶に新しい。
こうした居間のようなコンセプトには、エリック・サティの「家具の音楽」が背景にある。それは、「家具のように日常生活や聴く人の感情を妨げない音楽、意識的に聴かれることのない音楽」のことで、環境音楽、実験音楽に影響をもたらした。サティは劇場と客席というボーダーを無くそうと試みた。渋谷も本演奏会にて古典的なステージのあり方を揺さぶる。私的な部屋と緊張感の高い舞台が重なるのだ。
聴覚はもちろん、視覚、嗅覚で楽しめる新たな演奏会だ。一夜のみの貴重な開催なので、アートに興味がある方にはぜひ赴いてもらいたい。
【プログラム】
for maria – 渋谷慶一郎
Midnight Swan – 渋谷慶一郎
Scary Beauty – 渋谷慶一郎
Painful – 渋谷慶一郎
Gnossiennes – エリック・サティ
Fratres – アルヴォ・ペルト
Spiegel im Spiegel – アルヴォ・ペルト
Furniture Renku – 高橋悠治
他予定
ピアノ:渋谷慶一郎
ヴァイオリン:石上真由子
ステージデザイン:妹島和世
フレグランス:La Nuit parfum
セントデザイン:和泉侃
タイトル | Keiichiro Shibuya Playing Piano―Living Room |
---|---|
日程 | 2024年12月19日(木)開場18:20、開演19:00 |
会場 | 紀尾井ホール(東京都千代田区紀尾井町6-5) |
チケット | S席¥11,000円、A席¥7,700、B席¥5,500、C席¥3,300 |
URL | https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2434213 |