古賀絵里子写真展「BELL」東京・大阪で開催、
同名写真集の先行販売も

これまで「日常の中にある普遍的なもの」に惹かれ写真に託してきた古賀絵里子が、平安時代に成立した『安珍清姫物語』に着想得て、2018年から2020年にかけて制作した新作写真展が、ニコンプラザ東京とニコンプラザ大阪のリニューアルオープン記念展として開催。

『安珍清姫物語』は、能楽や人形浄瑠璃、歌舞伎や日舞などの伝統芸能にとどまらず、絵画や小説、舞台や映画などにも登場し、現代にまで表現の幅を広げながら観るものを魅了し続けてきた、日本で最も有名な悲恋の伝説。

本作「BELL」は、愛や裏切り、執着や悲しみ、また生や死が盛り込まれることで、どの時代の人々の心にも響くような普遍的なメッセージを放つその物語から、古賀が女性が負わされた悲しみや秘められた強さを、現代を生きる私たちの中に掘り下げながら撮影を続けた作品。また、今回の制作の中で、古賀は子育てとの両立で作品を生み出す葛藤を初めて経験することになったといい、その葛藤は自分や他者により深く向き合うための扉となり、いままであまり描いてこなかった「性」や、記憶に埋もれていた過去の自分とも向き合ったという。

まるでパッチワークのような制作時間の中で、伝説と向き合いつつ、現在の自分の家族や生活を見つめることによって生まれた本作は「誰もが安珍であり、誰もが清姫である」という人間の業そのものの肯定であるとともに、古賀が、解き放たれた自由な生き方を希求し、足元に芽吹く新たな可能性を見出した作品である。

会場では新作写真集『BELL』（赤々舎）が先行発売される。