SYP Galleryにて3月21日(日)まで花代「雲峯のたぬき婆さん」展が開催中。
SYP Galleryを初めて訪れた時に道に迷ってしまった花代は、不思議な場所に佇んでいる感覚が生じ、その事象自体が印象に残ったという。曙橋の周りには 幽霊坂、かっぱ坂、念仏坂、暗闇坂、蜘蛛切坂など奇妙な名の坂が多くあり、調べていくうちに今回の展覧会のタイトルである、“夜になると元気になる婆さん”の伝承を見つけた。
その伝承とは、こういうものだ。江戸時代いまの新宿区大京町あたりに大岡雲峯という画家が住んでいた。ある時その家の手伝い婆さんが奇病にかかり、体はやせ衰えていき、昼間は足腰も立たないのに、夜になると部屋中騒ぎ廻っている。心優しい雲峯は身寄りのない老婆をいたわり世話をしているが、いっこうに良くならず、むしろ悪化していく。老婆の動作があまりにも奇妙なので友人の医師に相談したところ、世間でいう狸の仕業かもしれないという。そこで狸を追い払う方法を試すが、どれも効き目がなかった。ある時、読み書きができないはずの婆さんが家人に歌を詠み、画を描き与えるという不思議な行動をした。その夜、家人がそっと婆さんの様子を見ていると床の中から大きな尻尾が出ている。それ狸だということで、布団を叩いたところ、髪の毛が真っ白になった古狸が死んでいた。そして老婆も狸と一緒に息を引き取ってしまった。
「ペストやスペイン風邪など歴史上の出来事と思っていたパンデミックが私たちのリアリティになったしまった今、雲峯が体験した超現象を手がかりに、その坂の名前がつけられた頃と今との繋がりを考えることが、不自由な昨今をどうやって生きていくのかのヒントになるような感じがしている」と、花代は語る。本展では、過去と現在、伝承と現実という、不思議な感覚と共にリアルを感じる映像作品とインスタレーションを展開する。
タイトル | 「雲峯のたぬき婆さん」 |
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会期 | 2021年2月25日(木)~3月21日(日) |
会場 | SYP Gallery(東京都) |
時間 | 13:00~19:00 |
休廊日 | 月~水曜 |
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2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。