笹岡啓子「SHORELINE」展、日本各地の山々や海岸線の未発表作を展示

笹岡啓子写真展「SHORELINE」が、9月18日（土）から新宿・photographers’ gallery、KULA PHOTO GALLERYで開催される。

2011年から2020年までに撮影された日本各地の山々や海岸線の未発表作が展示される本展。いずれもその地理的条件のもとで、長い年月を重ね変化を続けている場所で、笹岡は東日本大震災後の取材のなかで「島原大変・肥後迷惑」という言葉を知り九州へ向かった。「島原大変」とは1792年に起きた雲仙普賢岳の火山性地震による山体崩壊を指し、その大量の土砂は有明海へ流れ込み、大津波を起こした。その被害は島原ばかりでなく、対岸の肥後・天草（熊本県）にもおよび、最大で50mを超える津波の記録が残されているという。のちの普賢岳は1990年から5年間続いた噴火でも、多くの犠牲を伴う火砕流が発生し、その溶岩の噴出により成長した平成新山が現在、雲仙岳の最高峰としてそびえている。

2011年の東日本大震災以降、笹岡は大きな災害から個々の復興へと向かう現在進行形の場所に、撮ることで向き合ってきた。一方で、活動の最初期からのテーマである海岸線や火山など、地勢や地表が刻むその土地の過去や経過にも関心を寄せてきた。本作「SHORELINE」は、時制を超えた「地続きの海」を現在の地形から辿り、連ねていく試みでもある。