ルイ・ヴィトン手掛けるアートスペース、エスパス ルイ・ヴィトン東京にて、英アーティストのギルバート&ジョージ展が始まった。大型の3連作「Class War, Militant, Gateway (階級闘争、闘争家、入り口)」が日本で初めて展示される。ギルバート・プロッシュとジョージ・パスモアの2人は、キャリアの開始時に居を定めたロンドン・イーストエンドの労働階級居住地区での暮らしからインスパイアされた作品を制作。シニカルでありドラマティックでもあり、鑑賞者に強い印象を残す。
1986年に発表された3連作「Class War, Militant, Gateway (階級闘争、闘争家、入り口)」は、彼らにとって初の大規模作品だ。共同体への所属から、個人的良心や自己肯定の出現まで、個人の冒険を描いたもの。ギルバート&ジョージを代表するモチーフである黒枠の格子状にイメージは配置され、それはステンドグラスのようで宗教的でもある。主体となるモデルは赤、白、青の3色で構成。短パンやシンプルなトラウザーの青い仕事着は階級社会が民主的に調和したことを表現する。中にはスカートをレイヤードしたモデルもおり、パンクロックが始まった英国らしい自由さを感じさせる。
ギルバート&ジョージは、パフォーマンスも彫刻であり、リビング・スカルプチャー(生きた彫刻)というコンセプトを掲げ、アートと生活の垣根を無くす新たな表現を開拓した。そして1971年より身近な芸術の推進を目指し写真を取り入れ、フォトモンタージュを制作するようになる。タブロイド紙の表紙を賑わす宗教、セクシュアリティ、死、暴力、階級が彼らの主要モチーフ。二人のハイクラスの象徴でもあるスーツに身を包んだ姿はアイコニックであり、作品にも度々登場し、本作にも佇んでいる。
エスパス ルイ・ヴィトン東京の会場には3面それぞれに同作が据えられ、荘厳かつ圧巻の空間だ。鑑賞者は巨大な作品と対峙し、何を思うだろう。抑圧された英国を描くギルバート&ジョージ。コロナ禍で抑圧された現代に観ることでまた違った感興を催すのではないか。緊急事態宣言が解除された今、ぜひ感性を潤わせに赴きたい展示だ。
タイトル | 「GILBERT & GEORGE / CLASS WAR, MILITANT, GATEWAY」 |
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会期 | 2021年10月14日(木)~2022年3月6日(日) |
会場 | エスパス ルイ・ヴィトン東京(東京都) |
時間 | 11:00~19:00 |
休廊日 | ルイ・ヴィトン 表参道店に準ずる |
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