視覚的・概念的な境界を追い求める、コヴィ・コノヴィエツキ「And In Its Place Another」展

ロサンゼルス在住の写真家、コヴィ・コノヴィエツキによる写真展「And In Its Place Another」が3月12日（土）まで恵比寿のSalt and Pepperで開催中。

1992年カリフォルニア州ロングビーチ生まれのコノヴィエツキは、ヨーロッパでプロサッカー選手としてプレーしていた経歴を持つ写真家。ウェイクフォレスト大学でメディアコミュニケーションの学士号、ロンドン芸術大学で写真の修士号を取得後、2020年のHariban Awardでは奨励賞、2021年のAperture Portfolio Prizeではファイナリストに選ばれるなど、活躍の場を広げている。

本作「And In Its Place Another」は感情と視覚的関連性についてのプロジェクトであり、中東やメキシコなどへ旅行した際に撮影された写真と、カリフォルニアの自宅近くで撮った写真をつなぎ合わせることから始まった。それらの写真から「国境」というアイデアを見つけたコノヴィエツキは、作品を地理的境界を示すものとして形式的に分割するのではなく、感情と直感によるひとつの長い意識の流れのもとで作り出すことにした。プロジェクトを構成する写真に写るのはどこにでもない場所であり、どこにでもあるような場所だ。作品を通して鑑賞者に自分がどこにいて、どこに向かっているのか分からないまま移動すると同時に、「国境のない場所」に根ざしていることを感じながら、旅をしてもらうことが目的だという。

本展は写真と深く向き合い、視覚的及び概念的な境界を追い求めたコノヴィエツキによる自らの先入観への挑戦を、国内で目にすることができる貴重な機会となっている。ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。