19 April 2022

秘蔵インスタント写真800枚以上から、35年超のキャリアを総括する森村泰昌の大規模個展

19 April 2022

AREA

京都府

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森村泰昌《ワタシの迷宮劇場 M149》1987 © Yasumasa Morimura

森村泰昌《ワタシの迷宮劇場 M149》1987 © Yasumasa Morimura

京都市京セラ美術館の開館1周年記念展のひとつとして、日本を代表する現代美術家の一人、森村泰昌の個展「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」が6月22日(日)まで開催中。

1970年代に京都市立芸術大学で学んだ森村は、美術史における名画の登場人物や歴史上の人物、女優に扮するセルフポートレイトを制作することで、ジェンダーや人種を含んだ個人のアイデンティティの多重性を視覚化し、個人史と歴史の交錯点を表現してきた。近年では、ジャパン・ソサエティ(2018年)、プーシキン美術館(2017年)、国立国際美術館(2016年)、アンディ・ウォーホル美術館(2013年)、アーティゾン美術館(2021年)での個展開催のほか、「横浜トリエンナーレ2014」でアーティスティックディレクターを務めるなど、国内外で活躍を続けている。

出品作品は、これまでほとんど発表されることのなかった、1985年から撮りためている秘蔵のインスタント写真約800枚に加え、1994年に森村が自作の小説を自ら朗読したCD《顔》の音源をもとに、展示室に特設の音響空間をしつらえ、無人朗読劇として再制作している。本展は、森村の京都における1998年以来の大規模な個展であり、35年余り継続されてきた私的世界の全貌を公開する初の試みとなる。

何者かになり変わることで自己を解体し、一個人における複数の顔を露呈する森村の表現は、スマートフォンの進化やSNSの普及によって身近になった「自撮り」と共通しながらも、決定的に異なる面を持っている。そこには、自己への透徹した眼差しと、一人の人間が複数の存在として生きていくことへの圧倒的な肯定を見ることができるだろう。コロナ禍において、あらためて自身の制作の原点に立ち返ることでこれからを模索する森村の現在地を、いまだからこそ目撃したい。

タイトル

京都市京セラ美術館開館1周年記念展「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」

会期

2022年3月12日(土)~6月5日(日)

会場

京都市京セラ美術館(京都府)

時間

10:00~18:00(最終入場は17:30まで)

休廊日

月曜(5月2日は開館)

URL

https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20220312-0605

森村泰昌《ワタシの迷宮劇場 M122》2007 © Yasumasa Morimura

森村泰昌《ワタシの迷宮劇場 M150》1993 © Yasumasa Morimura

森村泰昌《ワタシの迷宮劇場 M002》1994–95頃 © Yasumasa Morimura

「京都市京セラ美術館開館1周年記念展 森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」 展示風景 撮影:三吉史高

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