03 August 2022

パーソナルな物語から個人と国家のアイデンティティを模索するトマス・ラズニー「Erna Helena Anja」展

03 August 2022

AREA

東京都

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©︎ Tomasz Laczny / Erna/Helena/Anja / the 21st RPS grantee

©︎ Tomasz Laczny / Erna/Helena/Anja / the 21st RPS grantee

現在、Reminders Photography Stronghold(RPS)では、第21回Reminders Photography Strongholdグラントを受賞したトマス・ラズニーによる写真展「Erna Helena Anja」を開催中。RPS グラントとは、企画展を対象とし、RPS 審査委員会の審査によって選ばれ、受賞者の展示をRPS ギャラリースペースにて無償で開催するというもの。

トマス・ラズニーは、ポーランドにルーツを持つヴィジュアルアーティストで、現在はイギリスを拠点に活動する。主に記憶と、記憶が時間と歴史によってどのように形成されるかに興味を持ち、アイデンティティの概念を探求している。個人、国、また世代を超えた次元でのトラウマ的な経験を扱うことが多く、彼の作品においては居場所の喪失と分離が重要な役割を果たす。

受賞作「Erna Helena Anja」は、ラズニーの祖母の個人的な物語を軸としながら、自身のルーツであるポーランドの歴史を探求し、現在娘と3年間会えていない自身の状況とも向き合う重層的なプロジェクト。ラズニーにとってポーランドの記憶とは、祖母と幼少期を過ごした幸せな日々だが、祖母には第二次世界大戦による壮絶な日々の記憶が色濃く残っており、それはいまでも暗い影を落としているという。ポーランドとの国境近くに住むドイツ人であった祖母は、戦時中にポーランド人男性と禁じられた恋に落ち、戦後ドイツ人収容所でラズニーの母を出産した。子どもを育てるには劣悪な環境であったため人に託した娘と再び会うことを願ってドイツ人移民としてポーランドに留まり、厳しい生活を余儀なくされたが、家族と再会するまでには長い年月を要した。本作は、歴史に翻弄された個人、そして国家がそれぞれのアイデンティティを見出す苦悩を描いている。

会期中は作家本人が来日し、8月6日(土)午後5時より、クローシングアーティストトークも開催予定。ぜひこの機会をお見逃しなく。

©︎ Tomasz Laczny / Erna/Helena/Anja / the 21st RPS grantee

©︎ Tomasz Laczny / Erna/Helena/Anja / the 21st RPS grantee

©︎ Tomasz Laczny / Erna/Helena/Anja / the 21st RPS grantee

©︎ Tomasz Laczny / Erna/Helena/Anja / the 21st RPS grantee

タイトル

「Erna Helena Anja」

会期

2022年7月30日(土)〜8月6日(土)

会場

Reminders Photography Stronghold(東京都)

時間

13:00〜19:00

URL

https://reminders-project.org/rps/tomaszlacznyjp/

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