渡辺志桜里が企画・キュレーションを務める展覧会「とうとうたらりたらりらたらりあがりららりとう」が、11月18日(金)からライオンズプラザ新宿 2Fで開催される。
“とうとうたらりたらりらたらりあがりららりとう”と何かが流れてくるような言祝ぎで始まる能の演目「翁」は、あちらとこちらの世界をつなげる存在である。「翁」は、胎児や温泉、火山や天皇、「まれびと」まで、さまざまな存在として、⼦宮を通したあの世との交信、宇宙的な世界観、⽣殖の神秘、⽣と死の連続した運動など、神性を体現する。また、演目としては、芸能全ての根底に脈々と流れるドメスティックな⾃然観、宗教観、思想、天皇制などにまつわる国家観を体現するものとして受け継がれている。
本プロジェクトでは、その「翁」に着想を得て、民俗学、文学、絵画、芸能または歴史から、人類を生物、無生物といった自然と同等に扱い、精霊や生物、無機物、言葉、所作をつなぐ<生態系を紐解き、この先のエコロジーの可能性と、それが根付く古層の可視化を試みる。能という芸能が、西洋の主体的な人間中心主義を脱却する構造をもたらすものとし、また、歌舞伎町を「漂流した末に辿り着く街」とするならば、かつて能楽師が旅芸⼈のように村村を渡り歩いて繰り広げた「翁」という祝祭の催事をここに納めることは、⼟地に眠る精霊や神との再接続を図り、また、気候変動や環境問題に直面する現代における、自らの身体や土地に根ざしたエコロジーは何かと問い直す試みである。
本展では、国内外のアーティストに限らず、食やインターネット、文筆家や演出家、動物の販売店や花屋など、多様な分野の表現者らの作品が、人間の歴史、環境、自然にまつわるファクトと結びつくことで、独自の世界観を提示する。また会期中、『翁』と石牟礼道子作の『不知火』の謡とレクチャーによる公演、さらに各界の異才とのトークも実施、現代と歴史、実戦と言論の双方から思考を深めるプログラムを展開する。
タイトル | 「とうとうたらりたらりらたらりあがりららりとう」 |
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会期 | 2022年11月18日(金)~11月27日(日) |
会場 | ライオンズプラザ新宿 2F(東京都) |
時間 | 13:00~20:00(土日祝日:13:00~22:00)*能舞台公演がある11月19日(土)、26日(土)の15:00~18:30は能舞台公演のため観覧不可 |
入場料 | 【展覧会のみ】1,800円【能公演込み】4,000円【パスポート】15,000円 |
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