小野久留美×一本杉農園コラボ展「地で泡立つ思考」

小野久留美と一本杉農園のコラボ展「地で泡立つ思考」が、5月28日（日）まで栃木県・Centerとくらしのらの二会場で開催中。

小野は1995年、栃木県生まれ。ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズのファインアート学部卒業。 自然の摂理である「変化」と、物事を永遠に留めておきたいという人間の「保存」に対する渇望の可視化に興味を持ち「写真を土に埋める」という方法で制作を行なっている。

一本杉農園は栃木県鹿沼市にて、栃木県産小麦と自家産素材を使ったパンと、農薬や化学肥料を使わずに育てた野菜を使い、畑を中心に、パン屋、カフェ、おでん屋、古本喫茶を営む集団。一本杉農園のオーナー福田大樹の一声で、このユニークなコラボ展が実現した。

土中やパン生地の中で起こっていることは、推測することはできても、完全に理解することは不可能。また、小野の作品と対峙したときに感じる「分からないことを分からないまま想像して楽しむ」感覚が、福田が日頃取り組んでいるパン作りや農業にも通じているという。普段は土の中に写真を埋めて作品を制作している小野だが、今回は撮影した一本杉農園のパンの写真を可食インクで紙に印刷し、それをパン生地に埋めて作品を制作した。

パンの中で新たな痕跡が刻まれた作品は「模索する多目的スペース」をキーワードに掲げる宿泊可能な複合施設「Center」と、一本杉農園が運営する古本喫茶「くらしのら」の二つの会場で展示される。小野にとって、自身が生まれ育った栃木県での展示は本展が初。貴重なコラボ展をぜひ会場で観てみて欲しい。