9月4日(月)〜10月1日(日)まで、「大辻清司 眼差しのその先 フォトアーカイブの新たな視座」が武蔵野美術大学 美術館・図書館にて開催される。
戦後日本の前衛芸術グループ「実験工房」や「グラフィック集団」のメンバー、美術・音楽・演劇・ダンス・建築にわたる同時代の多様な動向に立ち会い、ドキュメントを撮り続けたカメラマン、『アサヒカメラ』『カメラ毎日』などの誌上で独自の視点から才筆をふるったエッセイスト、写真教育の前線で多くの後進を育てた教育者——大辻清司(1923–2001)は、諸分野で確かな功績を残しながら、たゆみない探究心のもと実験精神溢れる写真表現を追究し続けた写真家。一方で、大辻の仕事は幅広く多面的な様相を見せたがゆえに一言では捉え難く、生誕100年を迎えた現在でもなお、その表現の本質を探る可能性を秘めた存在だといえる。
武蔵野美術大学 美術館・図書館では、大辻が半世紀にわたって制作したプリント、撮影フィルム、蔵書、直筆の制作メモや原稿などにより「大辻清司フォトアーカイブ」を構成し、2008年の寄贈受入より整理・研究に取り組み続けてきた。作品そのものと周辺資料の包括的な検証によって制作過程を追うことは、写真家が何を見つめ、どのように対象に迫ったのか、その関心の在りどころと思考を明らかにする重要な足がかりとなる。なかでもフィルムに記録された撮影コマの連続からは、作品の背景にある試行の跡や、被写体との間に醸されていた機微までもをうかがうことができる。
本展では、これまでのアーカイブ資料検証によって得られた視座を軸として、「原点」「シアター」「シークエンス」「他者たち」からなる四つの章によって、大辻清司とはいかなる表現者だったのか、その真髄へと迫る。オリジナルプリントと撮影フィルム上の未発表作品、印刷メディアでの仕事や執筆テキスト——多彩な広がりを見せた写真家の実践の数々を、互いに連関しあうものとして捉える構成は、本展を特徴づけるものといえるだろう。また、フィルムに残された多くの知られざる作品に光をあて展観することは、アーカイブ活用の大きな試みにもなる。本企画は、新たな大辻像の輪郭を辿るとともに、アート・アーカイブのひとつの在り方を示し、その先に何を見出すことができるのかを探る行程の一歩でもある。
タイトル | 「生誕100年 大辻清司 眼差しのその先 フォトアーカイブの新たな視座」 |
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会期 | 2023年9月4日(月)〜10月1日(日) |
会場 | 武蔵野美術大学 美術館・図書館(東京都) |
時間 | 11:00~19:00(土・日曜、祝日は10:00~17:00) |
休廊日 | 水曜 |
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