千賀健史個展「まず、自分でやってみる。」特殊詐欺を複眼的に掘り下げ、根底にある社会構造に焦点を当てる

千賀健史個展「まず、自分でやってみる。」が、2024年3月6日（水）より丸の内・BUGで開催される。

これまで千賀は、貧困や自殺の連鎖、スティグマ（特定の属性や事象への差別・偏見） といった千賀自身の身近に存在する社会問題を起点に、その問題を引き起こす社会的な構造や関係者それぞれの視点を顕にする作品を発表してきた。その問題や関係者に対する千賀の視点は俯瞰的であり、また数年にわたる入念なリサーチによって中立性を担保しようという姿勢が見受けられる。そして、その根底には二元論による対立構造を回避しようとする意識や、鑑賞者が社会問題に対して当事者意識を持つことへの期待があり、作品は鑑賞者が社会や他者への想像力を働かせる端緒となってきた。

本展では、2019年から約3年間にわたり千賀がリサーチしてきた特殊詐欺を起点に、それを取り巻く社会構造や個々人をテーマとした新作を展示。特殊詐欺による被害額が最大となった2014年から、千賀が初めてこのテーマで作品を発表した2021年まで、被害は減少傾向にあったが、コロナ禍を経て2022年には8年ぶりに増加。その背景には社会や時代の変遷から影響を受けた個々の生活の変化があったはずであり、本展ではそこに焦点を当てた作品を発表する。