滋賀・日野町のギャラリーつつむにて9月22日より川崎祐の写真展「未成の周辺」が開催される。
本展は、川崎が2018年から「聖地」として知られる和歌山県新宮市の熊野に取材して撮影を重ね、2023年に写真集『未成の周辺』(喫水線)として結実した作品の中から、プリント約17点と、スライド55枚を展示する。『未成の周辺』において、川崎は2つの方法(パート)から「風景」へのアプローチを試みている。
1つは、新宮の風景を写した写真群から構成されるパート。新宮市は熊野信仰の「聖地」として知られるが、川崎が関心を寄せたのは、その聖地性を象徴するような熊野らしい風景ではなく、川崎が故郷・長浜で見出したのと同じような荒地や空き地や住宅だった。川崎が新宮の街で繰り返し撮影した郊外的とも評しうるこれらの写真は、風景の「郊外」化が進む今日の日本において人びとの心の奥底に内在している「風景」を炙り出して表象させたものと言える。
もう1つは、路線バスの車窓から「熊野」の風景を撮影した写真群から構成されるパート。ここでは、「熊野」の風景が新宮から奈良県の大和八木まで6時間半かけて紀伊半島を縦断するバスに揺られながら撮影された。そのため、これらの写真は一見、「失敗」した写真であるように見える。しかし、ここで川崎は過剰なまでにカメラの機械性に身を委ねて撮影を繰り返すことによって、「風景写真」の成立条件こそを問う。
実験的な試みの「風景写真」だ。初日、2日目には川崎が在廊する。
タイトル | 川崎祐 写真展「未成の周辺」
|
---|---|
会期 | 2024年9月22日(日)~10月13日(日)
|
時間 | 10:00~17:00
|
場所 | ギャラリーつつむ( 滋賀県蒲生郡日野町村井1284 日野まちかど感応館内)
|
休廊日 | 9月24日(火)、9月30日(月)、10月7日(月) |
料金 | 無料 |