東京・新宿のKEN NAKAHASHIにてヨーガン・アクセルバルによる個展「火は火みずからを滅ぼすだろう」が開催されている。アクセルバルの写真作品に詩人、高橋睦郎の詩を組み合わせた新作を展示。
アクセルバルは、友人や花を被写体にしたポラロイド写真シリーズで知られている。彼の作品には、静かに流れる時間と清らかな孤独感が漂う。使用されるポラロイドはピールアパートタイプと呼ばれるもので、撮影直後からフィルムが化学反応を起こし、温度や湿度、剥がす際の力加減などが最終的な作品に微細な影響を与えることが特徴。撮影したポラロイドをスキャンした後、その画像をパソコン上で細部まで確認しながら大幅に拡大、引き伸ばすことで、元の写真には見られなかった微細な粒子やノイズが浮かび上がる。感情の混在を象徴するような色彩のグラデーションに浮かび上がる朧げな人物の輪郭からは、静寂や内省、そして感情の深層に触れるような感覚が呼び起こされる。今回の作品では初めて和紙にプリントし、木のパネルにマウントする技法を取り入れた。和紙ならではの柔らかさや温かみのある質感が際立ち、静かに佇むような存在感が生まれた。
また、アクセルバルは近年ナチスのホロコーストで使用されたガスの開発に関わったフリッツ・ハーバーの複雑な生涯にインスピレーションを受け、第二次世界大戦中に日本の秘密化学兵器が開発されていた大久野島について調査していた。さらにアクセルバルは、2017年に写真集『Go to become なりに行く』で自身の写真に詩を捧げた高橋睦郎を訪れ、人間の行動やその結果が残す痕跡、そして現代でも続く戦争について、共に対話を重ねてきた。高橋は、この作品にも応じ、「火・ぼく・記憶」という詩を新たに書き下ろす。アクセルバルは個展のタイトルに、高橋の詩の一節を引用し、こうして二人の作品が再び共鳴し合い、本展となった。
タイトル | ヨーガン・アクセルバル「火は火みずからを滅ぼすだろう」
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会期 | 2024年9月13日(金)~10月12日(土)
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時間 | 13:00~20:00
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場所 | KEN NAKAHASHI(東京都新宿区新宿3-1-32 新宿ビル2号館5階)
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休廊日 | 日・月曜日 |
料金 | 無料 |
URL |