未来から置き去りにされた万博を写すエヴ・カデュー、アジア初個展開催

奈良のMOMENT Contemporary Art Centerにて10月17日から、カナダ出身の写真家エヴ・カデューによるアジア初個展「J’AI VU LE FUTUR / 私は未来を見た」が開催される。

本展では、2025年大阪・関西万博の閉幕を機に、万博が社会にもたらしてきた影響について検証する。展示される《J’AI VU LE FUTUR（私は未来を見た）》は10年以上継続されている彼女の代表的なシリーズ。カデューは、幼少期に1967年開催のモントリオール万博跡地を訪れた体験をきっかけに、世界各地に点在する万博跡地を撮影してきた。

かつて“未来の祭典”として開催された万博の会場跡は、姿を変えて現在も地域の人々に利用されているもの、そのまま放置され廃墟化が進むもの、今なお新たな役割を模索するものなど、さまざまな空間が存在している。それらは歳月への適応の如何にかかわらず、それぞれの万博が示した「未来」との関係において矛盾をはらんだ空間とも言える。

本シリーズにおいてカデューは、万博の跡地をこうした「実現しなかった未来」として位置づける。人類の進化と発展、そしていずれ達成されるべき平和を目指した万博のその後を写すカデューの実践は、「未来」から置き去りにされた跡地に生きる我々の現在を再考するものだ。

初日14:00～16:00にはカデューによるトークイベントが開催される。