東京・銀座のソニーイメージングギャラリーにて10月31日より、Sony World Photography Awards 2025プロフェッショナル部門〈ランドスケープ〉で1位となった紀成道(きの・せいどう)の島根を撮った作品展「かぜとつちと」が開催される。同アワードは2007年からソニーが支援する写真コンテスト。
【ステイトメント】
日本語でいう「風土」にあたる英単語が存在しないらしい。代わりに示されるのはクライメット、エンバイロメント……。それではどこか腑に落ちない。自然環境にも人間社会にも当てはめられる便利なこの言葉にひそむ綾。緻密なのか曖昧なのか。いや、緻密なものをうまく曖昧にまとめていると解釈できるだろう。日本に住まう人々が抱く自然観を表しているだけかもしれない。
この国は海に囲まれ風雨にさらされることにより、湿潤で肥沃である反面、災害も頻発する。自然をコントロールする志向よりも、コミュニケーションの相手とする方が、理にかなっていたはずだ。自然もヒトも不可分で互いが世界の構成要素として対等であることに始まり、折り合いをつける両者の複雑な関係性が「風土」に織り込まれている。島根ではたたら製鉄と稲作に象徴される営みがそれを物語っていた。環境が人間を育むのか、人間が環境を育むのか、なんて問いは風土という概念が押し返してしまう。
よそ者である私は、島根が織りなす風土の表面を無邪気に駆けまわるだけでなく、綻びに見えるところへくぐり込んだり、その内側で絡め取られたりもした。例えばそう、平面的な紙や布地を顕微鏡でのぞくと実は起伏が激しい立体物であることに気づくような好奇心や冒険心でもって、地域の魅力と課題を記録していった。そして、どこから光が当たるとその綾が浮かび上がるのか思案する。
タイトル | かぜとつちと |
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場所 | ソニーイメージングギャラリー(東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階) |
会期 | 10月31日(金)〜11月6日(木) |
時間 | 11:00~19:00 |
休み | 無し |
料金 | 無料 |
URL | https://www.sony.co.jp/united/imaging/gallery/detail/251031/ |