第50回木村伊兵衛写真賞の受賞者が、濵本奏に決定した。対象となったのは、写真集『―・・(チョー タン タン)』および同名の展示で、写真と音、空間を横断するインスタレーション作品が評価された。
濵本は2000年生まれ。人や土地、物が持つ「記憶」を主題に、壊れたカメラを用いた撮影やフィールドレコーディングなど、複数のメディアを組み合わせた制作を行ってきた。受賞作では、第二次世界大戦末期に横須賀・野比海岸で訓練を行った「伏龍」特攻隊の元隊員の記録を手がかりに、音と光による空間作品を展開している。
写真というメディアを起点としながらも、記録や再現にとどまらず、時間や記憶の層を再構成する濵本の手法は、近年の写真表現の拡張を象徴するものといえる。イメージは単体の写真として完結するのではなく、音や空間との関係性の中で立ち上がり、鑑賞者の身体的な経験へと接続される。
受賞作の展示は、4月24日から5月7日まで東京・銀座のソニーイメージングギャラリーで開催される予定だ。
半世紀の節目を迎えた木村伊兵衛写真賞において、濵本の受賞は、写真が単なる静止イメージから、より広いメディア的実践へと拡張している現在の状況を強く印象づけるものとなった。
