写真家・早川勝夫による「pendulum Art Book & Fine Art Photo Exhibition」が、11月13日から18日まで、せんだいメディアテークで開催される。雪によって風景が消え、再び現れる現象を通して、写真が持つ「固定する力」と、絶えず変化する世界との関係を見つめるプロジェクトだ。
「雪に風景が消え、また現れる」。本作の起点にあるのは、雪がもたらす圧倒的な美しさと、視界を奪われる恐ろしさだ。降り積もる雪は風景の輪郭を覆い、距離や奥行きを曖昧にする。さらにホワイトアウトのなかでは、そこに存在しているはずのものさえ見えなくなり、「何を見ているのか」という知覚そのものが揺らぎ始める。
早川はこうした雪の性質と、一瞬を一枚の像として定着させる写真の性質を対置する。確かな輪郭を持っていた世界が白の中へ溶け、やがて再び姿を現す。その「見える/見えない」「存在する/消失する」という往還を、早川は「存在の還流」と呼ぶ。タイトルの「pendulum=振り子」も、固定と揺らぎ、可視と不可視、存在と消失のあいだを行き来する運動に由来している。
本展の特徴は、展示とアートブックを一つの作品として構想していることにもある。アートブック『pendulum』は全270ページに62点を収録し、半透明のトレーシングペーパーを採用。ページをめくると、前の写真の気配を残しながら次の像が透過して現れ、重なり、そして消えていく。「見る」「触れる」「めくる」「待つ」という行為そのものによって、写真に内在する時間を体験させる仕掛けだ。
一方、会場では62点の作品から32点を選び、5つの章の流れを再構成するように大判プリントで展示。アルポリック板にマウントした作品をフローティングフレームに収め、壁面に固定されながらもわずかに「浮遊」するような状態を生み出す。ページをめくることで時間の中に現れるアートブックと、身体を移動させながら空間の中で像と向き合う展示。二つの異なる体験を往還することで、「pendulum」の世界を立ち上げる。
アートブック『pendulum』は2026年12月、Inunicより刊行予定。
| タイトル | pendulum Art Book & Fine Art Photo Exhibition |
|---|---|
| 場所 | せんだいメディアテーク(宮城県仙台市青葉区春日町2-1) |
| 会期 | 2026年11月13日(金)〜18日(水) |
| 時間 | 10:00〜18:00(最終日15:00まで) |
| 休み | 無し |
| 料金 | 無料 |
| URL | https://www.instagram.com/yutarosaito/?hl=ja |
